チェコのアニメーション作家であるカレル・ゼマン監督作品。
『ジュラシック・パーク』が公開されたのは1993年。まさかそれよりさらに40年ほど前に、こんなにもリアルな恐竜が登場し、わくわくする冒険譚が存在していたなんて驚愕した。
本当にアニメーション技術が凄い。VFXじゃなくて、手作りでこんなことできるの?と思ってしまう。それもストップモーション・アニメや切り絵、マペットなど様々な手法が組み合わされて、ひとつのイメージを作り上げている。
極めつけは合成。本作では少年たちがボートを漕いで川を下りながら、陸地に生息する古代の動植物を眺める構図が頻発する。その際、川と陸のイメージは別に撮って合成させている。だから少年たちは実写で、動植物をストップモーション・アニメで動かすことができる。それは凄くないか??
物語もちゃんと展開があるし、少年たちの冒険の様子も面白いし、翼竜や動物に襲われたときは、川に何回落ちるんかいと笑ってしまう。
そしてやっぱり恐竜は凄い。アパトサウルスはデカすぎるし、ステゴサウルスはリアルすぎる。少年たちはステゴサウルスを調査するのだが、近くに寄っても全然生き物のように思える。
ただアパトサウルスとステゴサウルスに制作費を注ぎ込みすぎたのだろう。ティラノサウルスはクソダサい。マジで2足歩行のトカゲ。暴君竜とかでは決してない。
このように本作のティラノサウルスがダサかったのが原因で、スピルバーグは『ジュラシック・パーク』で恐ろしくてかっこいいティラノサウルスを生み出したのだ。というのは、全くの冗談ではあるが、カレル・ゼマンがスピルバーグに大きな影響を与えたのは間違いない。