前世紀探険/前世紀探検隊の作品情報・感想・評価

「前世紀探険/前世紀探検隊」に投稿された感想・評価

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漏れの感想・評価

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ゼマンの作品の中で日本でいちばんメジャーなのは、銅版画の挿絵の世界がそのまま動いているような映像を作り上げた長編『悪魔の発明』(1958)。
最高傑作はと言われれば孤高の超絶ガラス人形コマ撮り短編『水玉の幻想』(1948)。
「映画」としての面白さなら、実写と特撮の融合のバランス感、構図やカット割りの美しさ、「地球を掠めた彗星の重力に掻っ攫われて恐竜時代の彗星の上に戦争中の砂漠の街一個が漂流、頭上には地球、目の前には絵葉書の美女」っていう夢幻的ストーリーをとっても、『彗星に乗って』(1970)がなんといっても素晴らしい。

しかし個人的にどうしても好き、愛してやまないと言える『前世紀探検』。
1955年。『ゴジラ』が1954年『ゴジラの逆襲』が1955年なので同時期。
児童向け教育映画。学校の体育館で見るような系統の映画。
少年たちがボートで川を下ってゆくライド映画、ないしミュージアム映画。ジオラマ映画でパノラマ映画。
4人の少年のうち1人歳下のイルカくんの望みに付き合うかたちの前世紀探検。
子供たちは「遊びに来たんじゃない、観察に来たんだ」と強調し、探検日誌をびっしり書いて持ち帰るのが至上ミッション。
洞窟を抜けたら前世紀の世界。その後もボートが霧に包まれるごとに時代を遡ってゆくファンタジー世界観。
「ジュール・ベルヌのSF小説に書かれた空想の大半は後に現実になっている。であるならば前世紀の世界もある。前世紀探検も可能」というすごい理屈で前世紀旅行が実現される。
イルカくんが洞窟の入り口付近に三葉虫の化石を見つけたことが前世紀に繋がるルートの発見だった。三葉虫がキーアイテムになるところが『ゴジラ』との奇妙な類似。
最初に子供たちが遭遇するのはマンモス。原始人が描いたと思われる洞窟壁画を見るシーンなども経て恐竜時代(ジュラ紀の恐竜と白亜紀の奴がごっちゃに出てきたりして、そこは中生代でワンブロックって解釈なのか何なのか)、さらに石炭紀の沼と植物の世界を目の前にして「ここが後に全て石炭になるんだ」と解説されるシーンなど妙に感動的だし、ラスト何もない浜辺に到着し(ずっとセット撮影だったのが急にロケ)、内陸国チェコの子供たちにとって初めて見る海であるとともに、水平線を見ながら「全ての生命はここから始まったんだ」と解説されまた妙に感動、この後どうやって帰るのか知らんけどそこがラストシーン。最高。
怪獣映画的な特撮でのいちばんの目玉はステゴサウルス対ケラトサウルス(かな?)。『キングコング』(1933)のコング対暴君竜を踏襲しつつも『ゴジラの逆襲』のゴジラ対アンギラスを思わせる叙事詩的遠景ショットも。色彩映画としては『ファンタジア』(1940)「春の祭典」の影響ありか。ハリーハウゼンの初カラー映画『シンドバッド七回目の航海』のサイクロプス対ドラゴンはこの3年後1958年。『地球へ2千万マイル』イーマ対ゾウは1957年。
純粋な特撮映像の面白さでいうと、遠近法とパペットと書き割りの合わせ技をひとつの画面でやってるカットとか。
『のび太の創世日記』がすぐに人類史の話になって、もっとじっくり有史以前をやってくれーと子供のとき思ってたけど、これは全編前世紀だし、恐竜ばっかじゃなくて新生代と古生代もしっかり描かれてて素晴らしいし、遡っていく構成が本当に素晴らしすぎる。
バージニアリーバートンが絵本『せいめいのれきし』を出したのでも1962年。チェコという国とゼマンの創作の文化的豊かさに圧倒される。

登場する生き物
新生代
マンモス、毛サイ、デイノテリウム、サーベルタイガー、ウインタテリウム、フォルスラコスなど
中生代
プテラノドン、スティラコサウルス、ステゴサウルス、トラコドン、ブロントサウルス、ケラトサウルス(?)など
古生代
メガネウラ?、ディプロカウルス?、イクチオステガ?、三葉虫など
yukiko

yukikoの感想・評価

3.3
昭和な遊園地にありそうな恐竜時代への時間旅行アトラクションみたいなワクワク探検記。
楽しかった。

少年たちの怖いもの知らずな無防備さと軽装備には、君たちは冒険ナメてんのか?とヒヤヒヤしたところも多かったけど、この映画作ってる大人たち、少年たち以上にめっちゃ楽しかっただろうなーと思いながら観てたら楽しくなってきた。
動く恐竜、楽しい!
特に大物恐竜の格闘は、怪獣特撮映画みたいで、少年たちと一緒に夢中で見入った。

冒頭、この冒険旅行を回想するところから始まるので、まぁ無事に帰ってこられるのねとは思っていたけれど…

三葉虫の時代からどうやって帰るんだろう???
…と思っていたら、そこは潔くすっ飛ばして、めでたしめでたし!で終わったので、なかなか大胆だなぁと思った。
子供の心で、遊園地のアトラクションと思って楽しむのがよし。
私の中の小学生男児が騒いで仕方がなかった。
コマ撮り部分で出てくる恐竜、特にステゴサウルスが可愛かった!…のに!😭
アーサー・ランサムやモーリス・センダック『かいじゅうたちのいるところ』をふんわり思い浮かべたりした。
てるる

てるるの感想・評価

4.2
少し前にカレル・ゼマン特集上映にて。
これをスクリーンで観られたのは結構嬉しい。

前世紀のスタンド・バイ・ミー。

小学生の頃、地球の内側は空洞で、どこかに地底に通じる大穴があって、地底世界には恐竜や太古の生物がいると思ってた。

ちなみにジュール・ヴェルヌの「地底旅行」や、星野之宣の「ブルーホール」という漫画が世界観としては近い。

子供4人であの世界行ったら生きて帰れなさそうだけど、ファンタジーということで。

とにかくストップモーションや人形を駆使した古生物たちの動きが素晴らしい!
もうあのカクカクした動きがホント好き。

子供の頃は恐竜が大好きっ子で、恐竜展とか行って三葉虫の化石も買ったりしてたから、これをその時に観てたらどハマりしてただろうな。

しかもこれを1950年代に作っていたというのが驚愕でしかない。
カレル・ゼマン監督天才か。

このストップモーションの技術が連綿と受け継がれてモルカーになっていくと思うとロマンしかない。
三葉虫見たさに過去へ行く少年たち。ディズニーランドのジャングルクルーズとウエスタンリバー鉄道とトムソーヤの冒険を混ぜたような世界観。恐竜がたまに少し小さめなのもご愛嬌。
ハラハラするような大きい盛り上がりはないけど、終始のんびりして観られる一本。おわり
ナベ

ナベの感想・評価

3.0
三葉虫に始まり三葉虫に終わるところが可愛らしい。
劇場版ジャングルクルーズ。
淡々とサファリパーク的に動植物を見ていくんだけど、その中の少年たちのセリフや行動にとてもロマンを感じる。

他の彼のファンタジー作品と違って、これはいかにリアルに見せるかに注力していると思うんだけど、実写と絵の配置の仕方、アングル、切り替えが巧妙だなーと感銘を受けました。
(2022年100本チャレンジその34)

可愛らしいお話だった。こどもの日付近に見るのにぴったり。
伊達巻

伊達巻の感想・評価

3.3
どうしても寝てしまうからゼマンはもう見んぜまんて感じなんだけどやってることだけはめちゃくちゃロマンで好き。マンモスが見たいティラノザウルスが見たいならともかく、「三葉虫が見たい」ってのが渋すぎて笑える。あれ見るために何億年と時を遡って来たのか…!?とも思うが、だがそれが逆にいいんだな。小さな手のひらのよく分からない生き物に目を輝かせる少年たち。ちょっと感動した。一個前の新作ドラえもんみたいだった。
ちゃき

ちゃきの感想・評価

3.6
2022年213本目。
トラコドンめっちゃ可愛かった😍!
晩年の作品かと思ったら、結構初期作品なんだな。実写もアニメも早い段階から挑戦してるゼマンすごい。
一本の川がいろんな時代になっていくの、とてもロマンあるなぁ
umihayato

umihayatoの感想・評価

5.0
子供たちが古代にタイムスリップして冒険する映画。

随所にゼマン節も見られるが、落ち着いていて、同時代の特撮SFなどと同じ様な感じ。
50-60年代の特撮っていいですよね〜。
ストップモーションと描き割と目の錯覚のトリック。
それらにしっかり疑いとリアル感を持たせる為の気の利いたカット割りやアングル。

ゆるっとした冒険感でありつつ、ちょこちょこ入る豆知識で、ちょっとした古代の勉強にもなる、小学生の自由研究的作品。

夕陽のシルエットなど、4人が画面に収まってる時の撮影がかっこよすぎて、ゼマン、実写もイケてるってなりました。
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