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フォー・ルームスのnetfilmsのレビュー・感想・評価

フォー・ルームス(1995年製作の映画)
3.8
 『パルプ・フィクション』からちょうど1年後、ミラマックスにより製作された四部構成のオムニバス映画。タランティーノはラストの四話目の25分を担当しただけに留まらず、アリソン・アンダース、アレクサンダー・ロックウェル、ロバート・ロドリゲスの3人の監督に自ら声を掛け、製作総指揮としてもクレジットされている。やはり白眉と言えるのは3話目のロバート・ロドリゲスと4話目のタランテーィーノであろう。3話目は何と言ってもロバート・ロドリゲスのマリアッチ三部作でも主演を務めたアントニオ・バンデラスの演技が素晴らしい。息子をオール・バックにしようと髪を強引に梳かしていたものの、妻の姿に欲情し、2人は子供たち(姉弟)を置いたまま、夜の街へ出て行く。姉弟は最初は大人しくしていると約束したものの、ホテルの部屋に2人だけの高揚感からか、何度もフロント係であるティム・ロスの呼び鈴を鳴らし困らせる。部屋の匂いに一抹の不安は感じつつも、注射器やペイTVや高級シャンパンで遊びまくる。そんな彼らに手を焼くティム・ロスだったが、最期に壮絶な修羅場が訪れる。クライマックスのアントニオ・バンデラスよりも先にホテルの部屋につかなければ命が危ないティム・ロスの姿に思わず笑みが溢れる。

 それ以上に驚いたのは、3話目と4話目の幕間の描写に出て来たマリサ・トメイである。ノン・クレジットのサプライズ出演で観客を喜ばせた後、タランティーノお得意の密室でのゲームが幕を開ける。ここでは2話目に登場した妻役のアンジェラ(ジェニファー・ビールス)もちゃっかり登場し、クエンティン・タランティーノ本人とこれまた友情出演のブルース・ウィリス、ポール・カルデロンそれぞれの自分勝手な演技が見られる。ペントハウスに宿泊する上客である有名俳優チェスター・ラッシュ(クエンティン・タランティーノ)の接客をすることになったティム・ロスは、破格のチップとチェスターの話術に釣られて、危険な賭けに加わることになった。当初から怪しい匂いを嗅ぎつけていたベルボーイは一刻も早くペントハウスから立ち去ろうとするが、チェスターの一人一人の紹介もあって、なかなか帰ることが出来ない。彼の目的は何なのか?その真意を図りかねているティム・ロスは無理矢理部屋を出ようとするが、100ドル札をちらつかされて、半ば強制的にゲームに参加する羽目になる。

 ラストの描写は残酷でありながら、どこか可笑しいタランティーノ節全開である。男の悲鳴と共に、一瞬の隙をついてベルボーイはその部屋から逃げる。賭けに負けた男と勝った男が悲喜交々のドタバタを繰り返しながらエンドロールになだれ込む。今作のタイトルである『ハリウッドから来た男』や『間違えられた男』などはヒッチコックへのオマージュに他ならない。
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