スキップ・マッコイ(リチャード・ウィドマーク)は地下鉄でキャンディ(ジーン・ピーターズ)の財布をスリ取るが、そこには赤色スパイの取引する国家機密フィルムが入っていた。FBIとタイガー警部(マーヴィン・バイ)は情報屋モー(セルマ・リッター)からスキップを突き止めるが、赤色スパイたちもフィルムを取り戻そうと必死になっていた。
手に汗握るスパイスリラー。
“アカ” を仇敵に置いて、その冷酷ぶりを強調する作りは1953年ならではだけど、そこは置いといて、裏社会の駆け引きを楽しむのが良い。
なんといっても大好きなセルマ・リッターが重要な役どころで活躍してるのが嬉しい。
「イヴの総て」「裏窓」「足ながおじさん」などと同様、飄々としつつ人情深いおばさんキャラが際立っていた。タイガー警部との駆け引きなんか最高だ。
前半はそのセルマ・リッター演じる密告屋が、狂言回し的に人を動かして、ワクワクするようなスパイ劇が繰り広げられて超面白い。
ただ後半、彼女が画面から消えて、急にテンポが悪くなり、中途半端なロマンスで雰囲気が変わってしまった。
最後はB級アクション映画のように殴り合いになってしまったのが残念!
ただ、船着き場の小屋や地下鉄のスリの様子など、設定と映像が凝ってて、十分に楽しめた。
悪女っぽく最後まで信用ならないキャンディも作品の雰囲気にピッタリだった。
病院のベッドでもバカでかい付けまつ毛のジーン・ピーターズには笑えたけど。