Maoryu

ポエトリー アグネスの詩(うた)のMaoryuのレビュー・感想・評価

3.7
生活保護を受け、中学生の孫と暮らすミジャ(ユン・ジョンヒ)はなりゆきで詩の勉強を始めるが、ある日、レイプによって女子中学生が自殺し、孫が事件の加害者の一人であることを知る。教師や保護者たちは示談金で事件を隠蔽しようとし、ミジャもそれに加わるが、被害者の母親に会い、孫の無関心を感じ、自分の平凡な人生を振り返って、次第に行動を変えていく。

イ・チャンドン監督による静かに深い人間ドラマ。
「ペパーミント・キャンディー」や「オアシス」のようなインパクトはなくとも、ズシリと心に響く作品だった。

輪姦した少年たちに加え、酒を飲みながら金で事件をなかったことにしようとする親たち。その違和感だらけの映像には怒り心頭ながら、それを糾弾するというストーリーではない。
ミジャの平凡ながら苦労の多い人生と、終盤まで登場しない娘との関係が徐々に見えてきて、“美しいもの、心の内を詩にしよう” という切迫感が、次第にミジャの後悔や決意に繋がっていく。

自殺した少女の気持ちにはあえて触れず、終盤にミジャが追い詰められて命を絶った人間の気持ちを探り、同化しようとすることで事件の重さを観客に感じさせるつくりが巧みだ。

それに、ふらふらと加害者の会から抜けるところや、被害者の母親との会話の場面で、アルツハイマーという設定があざとくなく、非常に上手く機能してたなー。

自分の命と引換えに、禍々しい事件と、それを引き起こした少年への無関心、そして美しくも悲しい自分の人生を露わにするミジャの決意があまりに重かった。
Maoryu

Maoryu