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グラン・トリノのTKEのネタバレレビュー・内容・結末

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

クリント・イーストウッドが俳優として最後の作品にする…と宣言して製作した作品。
まあ、その後も俳優として主演作出てますが…。

なんというか、イーストウッドの気迫というか執念を感じる良作です。救われるかっていうと救われてない気はしますけど。


かつて朝鮮戦争で活躍し、表彰もされた元軍人のコワルスキー(クリント・イーストウッド)は最愛の妻を亡くし、50年勤め上げた自動車組立工を辞め、息子夫婦とのわだかまりもあり、愛車のグラン・トリノと共にデトロイトで1人隠居生活をしていた。

ある日、ギャングのいとこにそそのかされた隣家の青年タオが、愛車を狙って家に忍び込んできた事がきっかけで、2人の間に年齢を超えた友情関係が芽生え始める。


頑固な親父と純粋だけど未来が見えない若者の交流でお互いの心が通じ合っていき、周りを含めハッピーになっていくというのは、ある意味、鉄板な感じはするけど、この作品はさらにそこから一歩踏み出して、実際に起こっている悲惨な現実を突きつけてくる。

最終的に余命幾ばくもないことを悟ったコワルスキーはタオとその家族のために命を投げ出してギャングを刑務所送りにする。

そこに至るまでの過程が丁寧に描かれているので、最後にはグッとくるし、これしかなかったのか?ここまでしないと負のループから抜け出せないのか?と悲しくもなった。


最後の最後まで実の家族との関係は修復されることなく気まずいまま終わってしまったのが、実に現実的というか、切なさを倍増させていた。

終盤、息子に電話したときに、病気のことを話していたら何か変わっていたのか?電話の様子がおかしいと息子が気づけばわだかまりは解けていたのか?

タオとは腹を割って話せただけに残念でならないが、他人だからこそ話せる心の闇というのもあるよな、とも納得。

何はともあれ、両親は大事にしようと思いました。
TKE

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