シミステツ

グラン・トリノのシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

元軍人で妻に先立たれ孤独に暮らす頑固者のコワルスキー。アジア系の移民が近所に越してきたことで、偏屈で石頭な彼の心の有り様、生活が変わっていく。

ベトナム戦争の名残でやってきたというアジア系移民。モン族の少年タオを”トロ助”として馬鹿にしながらも気にかけるコワルスキー。そして侮辱されながらも仕事をくれというタオ。孤独な者同士、二人の関係性が深まっていくのが中盤からの見どころ。

タオに男らしい口の聞き方を教えるというシーンも面白い。初対面でタメ口はだめで、その場にいない奴の悪口を言うとか。匙加減は難しいけど、コワルスキーが仲間としてタオを認識していったさまが窺える。

コワルスキーらしさを描写するシーンも序盤から多く感情移入しやすいのもポイント。病気の検査結果が出て息子に電話したものの、多忙な息子に急ぎの病状を言えなかったのもコワルスキーらしいし、彼の孤独さが浮き彫りになる。頼りたくても誰にも頼れない頑固さ、意固地な部分を象徴するシーンだった。

コワルスキーに買ってもらった工具を不良たちに壊され根性焼きされるタオ。不良の家を訪れタオに手を出すなと復讐を仕掛けるコワルスキー。そして不良たちからの応酬…。
神に懺悔しコワルスキーは復讐をするのか。タオを閉じ込め一人で復讐へと向かう。コワルスキーの復讐とは、自らの死と引き換えに彼らを長期刑にするというものだった。ラスト20分は目が離せない。生と死は何か。そして最後の遺言状。

「俺のライターを出す」

「友達だ」

「最後に私が所有する’72年型グラン・トリノはわが友人タオ・ヴァン・ローに譲渡する。豆食いメキシコ人のように車のルーフを切らずクズ白人のようにペンキで車体に炎など描かぬこと。また後部にカマっぽいスポイラーなど付けぬこと。あれはクソだ。それさえ守れるならあの車はお前のものだ」