ShojiIkura

グラン・トリノのShojiIkuraのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
3.9
 クイント・イーストウッドが演じる老人は、「これぞアメリカの頑固親父」像をいつも明確に示していて、今回も趣味に没頭、口が悪い、差別的偏見、テリトリーに厳しいといった偏屈さ全開のオヤジを演じている。
 しかしそんなオヤジが、一旦自分のテリトリーに信頼できる人を受け入れると、今まで自分を守ってきたエネルギーをすべてその人たちを守るために注ぎ込む。
 そうは言っても、最後はアメリカ的正義で終わるんでしょ?やられたらやり返す、そのプライドこそがアメリカなんでしょ?と少し穿った見方をしてたので、あのエンディングには、ハッとさせられた。すでに病に冒され死期を悟って自らを犠牲にしやすい状況だったとはいえ、中途半端な脅しではかえって危険な目にさらすという反省を踏まえると、完璧かつ、悲しい判断だったと思う。
 ラストシーンの質は作品を左右する。そういう意味でこの作品のは上質だ。
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