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グラン・トリノのmuuのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
3.5
映像のトーンやパッケージから、頑固親父による悪者ギャング達への復讐物語かと思って見始めましたが、妻に先立たれた尖った老人の孤独感、若い神父や人種の違う家族達との交流による心境の変化等、予想以上にドラマ部分のしっかりある作品で驚きました。実の息子家族以上に隣人家族に親しみを感じるシーンには少し虚しいような切ない気持ちになり、中盤少年に仕事を与え関係性を築いていく展開は、彩度を上げればハートフルな作品にもみえる気がしてほっこりとしました。身近にいたら優しく接する自信がないかもと感じる主人公の尖った爺さんだが、作品をみていくうちに憎めなくなってくるから不思議。そして好意を無下にされても諦めない若い神父さんとのやりとりは印象的でした。物語終盤は辛くハードでしたが、冷静になれと諭し覚悟を決める尖った男の姿に格好良さを感じました。そしてラストには、これが命短い主人公にとって最良の選択なのかもしれないとも思いますが、それでも悔しさの残る複雑な感情になりました。エンディングへの入りと余韻が良く、観て良かったと思いましたが、評価が高い作品なので鑑賞前の期待値が高すぎたようにも感じました。
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