ラグナロクの足音

ぼくの小さな恋人たちのラグナロクの足音のレビュー・感想・評価

ぼくの小さな恋人たち(1974年製作の映画)
4.1
作品の出来栄えも去ることながら70年代フランスの性へのアプローチの仕方に驚いた。なんて性愛に満ち溢れた人間的な世界なんだろうと。携帯も何もない社会では身だしなみを整え、言葉を巧みに使ってアプローチするしか、異性を捕まえる方法はない。しかし女性の目当ては養ってくれる男性と結婚することであるから、婚約をするまでは股は開いてくれない。このルールが社会に徹底されている。12歳の女の子からもそんな台詞が出てくるなんて。現代の人間がいかに退化しているかが良く分かる。カット毎の切れ味が素晴らしい。シーンが動きそうになったその瞬間にレンズを閉じてしまう。放たれたままの言葉はそのまま後続する無限の可能性を保持したまま虚空へ残響する。才能の恐ろしさに身震いした。
ラグナロクの足音

ラグナロクの足音