日常世界の中にSF的な想像力が介入することで、青春の不可逆性が際立って立ち現れる。
真琴は、千昭と功介との関係が変化するのを拒み、時間の逆行を繰り返す。それは選択肢を無限にやり直すことが可能であるということになるのだが、しかしそれでも物事の大きな流れを変えることはできず、最悪な結果を招いてしまう。
作品を通じて感ぜられるのは、「未来で待ってる」という有名な台詞に代表されるような、我々は未来のために、一度きりの今を、過去の選択に対する未練を抱え込んだまま生きなければいけないという、大人になってから学生時代を振り返る時のあの後悔ともノスタルジーともつかない感覚だろう。