「人間は、害悪だ」-そんな主張を繰り広げる宇宙人たちと出会った(拾った)迷える人間たちは、彼らの目にはどのように映ったのか、
狙っての演出なのか、予算の都合なのかわからないが非常にチープなCGによる>>続きを読む
これほどまでに静謐で、穏やかなコンサートがかつてあっただろうか。
坂本龍一の最後のコンサートを記録したライブフィルム。モノクロの画面の中で、痩せたからだを駆使しながら、一音一音手触りを確かめるように>>続きを読む
『彼女の想いで』は、このオムニバス作品の巻頭を飾るにふさわしく、「MEMORIES=想いで」という解釈のもと、個人/故人の想いでが個人の記憶/思い出を翻弄、あるいは侵食していく様が、今敏が得意とする虚>>続きを読む
はじめは些細な違和感だった。
桃子は丁寧な暮らしを勤しむことで自分を保とうとしていたのだろう。しかしそんな彼女の生存戦略も空しく、周囲との違和がほんの少しずつ増大していく。増大した違和の果てに待ち受>>続きを読む
倭文とはいったいなにであったのかー
太古の昔、樫の木を材料に作られた倭文という幻の布を現代に再現しようという試みに3人の伝統工芸の担い手たちが挑む。彼らがそれぞれに倭文に対する解釈や当時へと思いを巡>>続きを読む
前作では「ゼロ距離男子」として互いの恋愛感情などについては、言及がなかった(むろんあえてではあると思うのだが)。しかし本作ではそんな彼らが互いの恋愛感情に気づき、その関係性に葛藤が生まれるというBLの>>続きを読む
結局は隣で何が行われているのか知らぬことが、人間が人間として正常さを保つための自己防衛反応として機能しているのだということを思い知らされる内容であった。
おそらく鑑賞者自体も気づく者と気づかぬ者に分>>続きを読む
”推しが犯罪者になった時、オタクたちはどのようにその事実と向き合うのか”
「推し」という概念が一般に定着しつつある現代において、メディア全体にある種の正しさを厳しく向けるような風潮も相まって、そうい>>続きを読む
日本映画史の総まくりとの見方もあるが、むしろ千代子という個人と
大女優「藤代千代子」としての存在が混合する一大回顧録として物語は進行していく。それはまさしく一個人としての存在と演じる役としてのイメージ>>続きを読む
ストーリー自体はオリジナルであるものの、マンガ原作版鬼太郎のもっていたグロテスクな不気味さを見事に映像化、かつ年齢制限なしの公開で表現できるギリギリの凄惨で残酷な描写によって、比較的ポップな仕上がりで>>続きを読む
学生映画界隈の監督あるいはシネフィルの人々は同族性嫌悪を抱く人もいるような気もするが、少なくとも外部からみた界隈の人の様子や雰囲気を(あくまで印象的にであるが)正確に描写したのは、『映画大好きポンポさ>>続きを読む
wkwの初期監督作品であり、一人の若者を中心とした青春群像劇。しかしそこで繰り広げられるのは、若者たちの鬱屈とした、あるいは不器用で不安定な恋模様であり、何か約束された未来のようなものが展開上彼らのう>>続きを読む
期待を裏切らない安定のディズニークオリティ。旧作のエディ・マーフィ版からコメディ路線は引き継ぎつつ、エンタメ性の高い作品に仕上がっている。
賛否あるところだとは思うが、近年の他のハリウッド映画もそう>>続きを読む
シチリアの美しい街並みと自然が若い2人の関係をよりみずみずしく際立たせる。
実際の事件をモチーフにした作品であるものの、極めて激しいホモフォビアが描かれる。時代的な雰囲気なのかもしれないが、当時ゲイ>>続きを読む
同名の吉野源三郎による小説とは内容的には、ほぼ関係がない。しかしながら、モチーフとして、そして鑑賞者への問いかけとして作品を支えている。
母親への思慕と父親のエゴから距離を取るように、鷺男に導かれて>>続きを読む
日常世界の中にSF的な想像力が介入することで、青春の不可逆性が際立って立ち現れる。
真琴は、千昭と功介との関係が変化するのを拒み、時間の逆行を繰り返す。それは選択肢を無限にやり直すことが可能であると>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
期待を裏切らない安定のエキサイティングな面白さはそのままに、冒頭でインディー・ジョーンズの衰えた姿まで描いたのは、長く続いたシリーズだからこそであり、ヒーローの老を描くことで、彼らのキャラクターとして>>続きを読む
パステルカラーな色彩の、極めて閉塞的なフィールドで淡々と抑揚の少ない日常会話が繰り広げられる。
劇中劇として描かれることで、世界そのものの空虚感は増幅され、いわゆるポップと形容できる「軽さ」を漂わせ>>続きを読む
世界観や設定こそ奇抜で目を引く作品であるが、本当の意味で、女性が自立してゆく様子を丁寧にかつ克明に描いた意欲作だと言える。
特に、女性と性という社会的にセンシティブとされてきた部分と真摯に向き合い、>>続きを読む
なるほどこれがタイBL、ガンアクション、ロマンス、コメディ、etc…あらゆるエンタメ要素を盛り込んでいる本作。
男性同士の恋愛を描いていて、かつケンの色白、犬系なキャラクター設定など日本のBLとの類>>続きを読む
ゲームファンの期待を裏切らない小ネタの連続、わからないと面白くないのではなく、分からなくても面白い、知っているとなお面白いという塩梅が素晴らしい。
マニアからそうでない人まで余すことなく楽しませると>>続きを読む
独特な色彩感覚で、あり得なくはない、日常と地続きの洗練された憧れにも似た都会のイメージの中で物語は展開される。
彼女たちそれぞれの交わりは一時のそれであり、決して永遠に続きはしない。しかしながら、彼>>続きを読む
繰り返される2分ワンカット
彼女たちは時間がループしていることを自覚したまま、2分という時間を過ごしていく。
それは舞台演劇において、俳優たちが公演を重ね、経験を記憶した自身の身体を用いて、何度も>>続きを読む
E.Oそのロバの瞳に世界はどう映っているのか。
その答えが明らかにされることはない。なぜならE.Oは一介のロバに他ならないからだ。
もしE.Oの気持ちを解釈したとすれば、それは鑑賞者の個人的なもの>>続きを読む
京劇を物語の中心に据えることで、伝統文化の抱える「継承」に関する葛藤をドラマチックかつ緊迫感をもって描く。
近代中国、激動の時代の中で2人の少年が伝統に従事しつつ、変化する社会の中で苦悶し翻弄されな>>続きを読む
安定の面白さはドラマ版そのままに、舞台は日本からパリ、ルーブル美術館へ、時間は露伴の子供時代まで遡る時間的、地理的にも映画版ならではのダイナミックな広がりを見せた。
特に露伴の子供時代を演じていた長>>続きを読む
BLかそうでないか意見が分かれると思うが、BLっぽくない理由としては、「性描写がないこと」と「モノローグが少ないこと」の2点が考えられる。
特に後者はルーツとして少女漫画に近接してきたBLは実写化さ>>続きを読む
彼女がいったいなにをしたというのだろうか。
1人穏やかに信仰を拠り所として、静かに慎ましく暮らしていた依子の生活は、失踪していた夫が現れたことで次第に揺らいでいく。
側から見れば、怪しげな宗教への>>続きを読む
同性愛を取り巻く様々な歪みや社会的な雰囲気をリアルかつ、子どもたちを主人公に据えたことでよりセンセーショナルな形で描き出す。
劇中では一連の物語が登場人物それぞれの視点で反復する形で語られてゆく。こ>>続きを読む
本編で描かれるのは誰かのとなりに誰かがいる風景。物語はあるものの説明は省かれており、解釈や理解は高度に鑑賞者に委ねられる。
ただ言えるのは、私のとなりにいる人にとって、私もまたその人の「となりにいる>>続きを読む
日本の村社会における「歪さ」に焦点を当てた、地域学系を専攻する人必見の作品。
これは村が住民をおかしくするのか、はたまた住民が村をおかしくしているのか
村社会に飲み込まれた人間たちの破滅は繰り返さ>>続きを読む
パリは人生と共に
ある女性の人生を、人生落ち目のタクシードライバーと共に観客は追体験していく。彼女についての真実は、彼女の口からしか語られない。したがって我々がここで見聞きするのは、彼女とパリの記憶>>続きを読む
箪笥の秘密、家族に漂う不穏さの正体はいかに...
前評判がかなり高かったが個人的にはよくわからなかった。
そもそも画面が終始暗いシーンが多く、テレビ画面の発光度ではどうしたって不明瞭であったのが残>>続きを読む
美しい彼とその後、そしてこれから...
ドラマ2作に続く形で、交際中の2人のあれやこれやが描かれる
主演2名の相変わらずの暴力的なまでのビジュアルは置いておくとして、、
今作で特筆すべきは、描かれ>>続きを読む
凪良ゆうによるBL小説を映像化した本作の魅力の一つは、なんといってもキング清居を演じる八木の暴力的な美しさだろう。小説原作ならではの「圧倒的な美しさ」という設定を実写の映像表現で実現させた功績は大きい>>続きを読む
「日の丸についてどう思いますか?」の質問に対して、突然マイクを向けられた人々の回答は、どこか他人事のような印象を受ける。
匿名性の蓑の下ではこういったセンセーショナルな話題に切り込めと迫るのに、いざ>>続きを読む