他のダンスはそうでもないのに、バレエの男って特殊だ。珍獣扱いだ。
チュチュもトウシューズも女の子の世界だから。
この映画が「女の子がバレエダンサーへ」だったら、敵はライバルの女の子、という話になりがち。
ビリー君は環境が敵。貧困が敵。その状況でバレエダンサーになろうとするんだから、応援したくなる。
家族がいい。お父さんいいな。苦しいけどビリーのためなら無理してしまう。自分のことより息子のこと。それができるお父さんは辛いけど幸せだと思う。ビリー君もその思いを受けとめてバレエの夢に集中していく。
練習しているビリー君を見ていて、彼がやりたいのはバレエじゃなくてタップダンスとかアイリッシュダンスじゃないの?って少し違和感を感じたけど、細かいことはともかく夢に突き進む姿は輝いている。
イギリスの炭鉱町。日本にも似たような厳しい環境があるけど、すごい才能って場所と関係ない。出て来る人はみんなの応援を集めてキラキラ輝いてのぼりつめる。
たぶん応援したくなってしまうピュアなものがあるから。わかんないけど才能ってやつもたぶんあるから。
ラストの成長したビリー君の跳躍が観たかった。後ろ姿だけでめっちゃ本物バレエダンサーって伝わるから。あれで2メートルくらいのグランジュッテかまして欲しいな。
小生、はるか昔にバレエ少年だったから、他人事ではこの映画が観られず、客観的な評価はできません。とにかくいい映画。