マイオールタイムベストネオレアリズモことウンベルトDがいつの間にprimeに来てる!!となって再見 やっぱりこの映画のことが本当に好きだ 自分の命が犬1匹分の重さになっちゃったことがあるひと(ある気がしているひと)みんなに観てほしい ウンベルトとフライクとのかけがえのない絆、みたいなものに一切焦点を合わせない無慈悲なストーリープロットが本当にいい 一心同体の彼らのその命の軽いこと、保健所で毒ガス装置に入れられていく犬たちの視線まで捉えてその軽さをこれでもかと強調しながら、それでも振り払うにはあまりに重たい大切なかたわれの命 散歩はしない主義、と聞いた途端心変わりするその振り子、その心細さをわたしは知ってるよ
以前見たときは16ミリだったからフライクが犬のかたちした光と影みたいになっててそれはそれでよかったけどprimeだとお利口なお顔まで見えてそれもまたよかった 知的な目をした茶ぶちのお犬 二度目でもお家でもぜんぜんまた泣いた ブラボーフライク、ブラボー
2023.7.12 シネマヴェーラ
ウェンディー&ルーシーでウェンディーが「ルゥー!」と見つからない犬の名前を呼ぶ声を時折思い出しては胸をぎゅっとさせてたのだけど、いまは本作のラスト数分間のフライクのしっぽを思い出すだけで胸がぎゅっっとなる状態にある
ほんの少し意固地でほんの少しひとに頼るのが苦手なだけでどこにでもいるような元公務員の独居老人ウンベルトと、彼に寄り添い続ける忠実なフライクが住む場所を追われ死に場所を求めてとぼとぼと街を歩くようになるまでの物語 とにかくまあフライクのお利口なことといったら!乞食の真似事もプライドが邪魔してうまくいかず、フライクに乞食をさせるも元上司が通りがかり帽子を咥えて後ろ足だけで立つフライクを一瞥して「フライクは何をしてるんだ?」と問うシーン、いろんな感情がぐちゃぐちゃになって最高
保健所でこれからガスで殺される犬たちを捉えるショットが登場してからはますます死の気配が強まり、最後の公園のシーンの眩しさはますます浮世離れしてしまう とてとてと探しに追ってくるフライク、一目散に逃げていくフライク いい子だ 素晴らしい ブラボーブラボー フライク まるであの世から戻ってきたかのように何もかも忘れて松ぼっくりで遊ぶ1人と1匹 この光を見るために映画を観てるんだ!と涙でびしょびしょになった
16mmフィルム上映なこともあって、字幕が1割くらいついてなくて3割くらい画面と同化して読めなかったり、フライクがほぼ通して輪郭でしかない(表情などの細部が読めない)のもなんだかかえってよかった 彼らのたましいはしっかり焼きついてた