ウンベルトDの作品情報・感想・評価

「ウンベルトD」に投稿された感想・評価

本日11月13日は1974年に没したネオレアリズモの巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督の命日。

敗戦後のイタリア社会で生きる過酷さを描いた"ネオレアリズモ"はたちまち民衆の心を捉え、
そのムーヴメントは世界中へと知れ渡りました。

中でもその旗手となったデ・シーカは46年「靴みがき」で戦後混乱期の社会に苦しめられる子供を描き、
48年「自転車泥棒」で戦後の不況で窮地に立たされる失業の父親を描き、
そして51年の本作「ウンベルトD」では戦後数年のインフレによって困窮してゆく老人を描き、
デ・シーカと脚本家チェザーレ・ヴァザッティーニはここにイタリア三世代に渡るネオレアリズモの傑作群を完成させたのです。

主人公ウンベルト・ドメニコ・フェラーリは年金暮らしの元公務員であり、愛犬フライク
と共に高慢な家主の部屋を間借りしている独居老人。

戦後の復興によって社会は徐々に豊かさを取り戻している反面、その皺寄せであるインフレは貧富の差を一層拡大させ、
人々の心はなおも貧しいまま。
ここには人情の欠片すらも見当たらず、彼に理解を示すのは愛犬とメイド娘のマリアだけなのでした。

増えぬ年金と家賃の値上げで金策に奔走するものの定年した老いぼれに手立てなどあるはずも無く、とうとう途方に暮れた彼はある行動に出ます。

ラストはもちろん、自身のプライドに葛藤するウンベルトやフライクを必死に探すウンベルト、芸をする利口なフライクの愛らしさなど、胸を打つシーンは数知れず。

またメイドのマリアでさえも実際明日は我が身の立場であり、
本作の持つリアリズムはより現代社会に通ずる普遍性を十二分に携えているのです。
非常にぎりぎりのラインにある映画だと思う。
いぬを映すとなると、カメラをヒくか、低めに構えるかが基本となるだろう。しかし下からの構図(もしくはいぬの目線)というのは、濫用すると明らかな不和をもたらす。しばしば人間を映す際もそういった構図だったが、これを等しさへの歩み寄りと考えるか、甘さと捉えるか。
いぬと再会するシーンのカメラは、完全にストーリーに従うものでよくなかった。
あとは帽子をくわえさせて物乞いの真似事をやらせるところ……。かなり衝撃だった……。

本当におとなしいが、動くときは動く、素晴らしいいぬでした。
基本首輪をつけての撮影。ここはどうしようもないとこだが、『霧の波止場』のいぬがすごすぎたというとこか。
なす術もなく立ちすくむとはこういう事 デ・シーカ「ウンベルトD」

デ・シーカにとって「描く」ではなく「描かずにいられなかった」作品です。
それゆえに時代と国籍を越えて2017年の我々にも肉迫してきます。
観た者は「遠い昔の貧しい時代の話」とのんびりしたことは言うまい。
為すすべもなく立ちすくむ有様

リアリズム大嫌いのワタシですがリアリズムの極致に打ちのめされました。

今までクロサワやキューブリックの「完璧主義」を「リアリズム」と混同していればひとり秘かに恥じるべし。
かくいうワタシもその一人であります。
年金生活で家賃が払えずに家を追い出されそうなお爺さんと賢い犬を描いたビットリオ・デ・シーカ監督作品。

デジタル・リマスター版を観たので、画像が鮮明で綺麗。
見事な映像であった。

ただ、いかに貧しくてもプライドを持って生きているお爺さんは乞食できないあたりの葛藤する姿に人間らしさを見た。
shibamike

shibamikeの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

保健所における犬の殺処分に関して、結構詳しく映しており、印象的だった。
必死に吠える犬達に胸を締め付けられたが年金暮らしでカツカツの老人たちを重ねるべきなのだろうか。
公務員も老人も誰でも所詮、迷子になって一文無しになったら、国から死ねと告げられ、見殺しか。

女中マリア嬢が最初、鳥を料理するために、両足掴んで逆さにして羽根をむしり取ったり、新聞紙に火をつけて壁の蟻を一掃したりと、昔の少女はたくましいなあ!と目を丸くせずにはいられなかった。が、そこは花も恥じらう乙女。夜中にはホロリと涙を流すことも。どっちが父親かわかんないなんてやっぱりマズイ!

この映画、とにかく主人公の愛犬フライクが超絶可愛い。まぁー、お利口!
主人公が溺愛するのもうなずける。
ラスト、引き取り手の見つからないフライクを腕に抱き、冥土の道連れにしようと鉄道で立ち尽くす主人公。
近づく列車の轟音に危険を感じたフライクがキャイーン!と叫び、主人公の腕から逃げ出すのだが、叫んでいるときのフライクの顔が本当に恐怖の顔つきで圧倒された。
松ぼっくりでフライクと戯れるパッと見た感じ、朗らかなシーンで映画は幕を閉じるが、90分顛末に付き合った我々観客にはこの老人は今後も不幸、絶望が続くとしか思えない。エグい監督だ!
公園で無邪気にしている人がいても、訳ありなのかも!

このレビューはネタバレを含みます

ヴィットリオ・デ・シーカ初見。
老人と犬の組み合わせにググって見たら『ハリーとトント』の元ネタという人が何人かいた。あっちは老人と猫で家を追い出されるのは同じだが、アメリカ現代旅行な作りになっているし、老人に力がある。
淀川さんの本や『フランシス・ハ』でこの映画のタイトルをインタビュワーが出してて、名前は知っていた古典。因みに『フランシス・ハ』は『クリスチーナ・F』から取ってたと監督がたしか言ってた。

映画は年金暮らしで借金があって家賃を滞納している老人が、なんとか金策に走るが結局つくれず、部屋を出て飼い犬とさまようという話。

ラストで犬と遊ぶのが、直前に飛び込み自殺を図ろうとしたのと、それまでの経緯もあってより厳しさを感じさせる。
妊娠してシングルマザーになるだろう娘や、冷たくなる老人の知り合いたちとか現実的で怖い映画だった。
老人が結婚してるか分からないけど、頼ろうとする人がああいう態度を取るのは、老人にも何かあるのかとちょっと気になった。
T兵衛

T兵衛の感想・評価

3.6
病気持ちで生活が困窮している独居老人の日常を淡々と描く。
こんな老後だけは送りたくないよ~世知辛すぎる
犬のフライクがかわいいのが僅かな救い
KICCO

KICCOの感想・評価

5.0
生きる苦しみ。
死ねぬ苦しみ。

大切なものは離れずどこまでも付いてきてくれる。
逆に接し方しだいでどんどん人も物も離れていく。

「生きろ」というのも酷だなと思うことがある。

涙を流すマリアが印象的。
マリアとウンベルトの関係も美しく儚く感じた。
GyaOで無料でやってたので軽い気持ちで観たら...胸が締め付けられた。
こめ

こめの感想・評価

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ありえん悲しみが深い〜(ToT)
こんな状況だと生きる意味が分からなくなりそうだけど、同時にどんな状況でも繋がりのあることは大切にすべきだなぁ〜私たちにも身近なテーマだった!両替のためだけに買ったグラスを速攻で投げ捨ててたのワロタ
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