りょうすけ

エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事のりょうすけのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

「エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事」

反社が出てこないどころか、上流階級の人しか出てこないスコセッシ監督作品。1ヶ月くらい前にアマプラのレンタルがセールになっていたので、鑑賞してみたけど、140分の長尺を感じさせない面白い映画だった。

弁護士ニューランド(ダニエル・デイ=ルイス)がメイ(ウィノナ・ライダー)と結婚したけど、彼女の従姉妹であるエレン(ミシェル・ファイファー)に密かに想いを寄せていたという話。愛人系映画のドロドロ感が合わないことがしばしばあるので、そこそこ身構えたけど、意外とドロドロはしていなかった。

先進的な考えを持ち非常に真面目な主人公が原理主義的な上流階級の中や妻への背信への自責、エレンへの置き所のない思いなど様々な要素の中で揺れ動く様を、名優ダニエル・デイ=ルイスは見事に演じ切っていた。彼の演技と格好の良い立ち振る舞いを見られるだけでもこの映画は十分に価値がある。

性的に入り乱れたような関係性ではないというところが心惹かれた。無駄にドロドロした関係性になることなく、メインキャラクターの3人が色々な想いを抱きながらも、それらを押し殺して互いに接しているというところに純粋無垢な愛と美しさを感じる。

終盤でメイがニューランドとエレンの間の関係性を知っていたことが明らかになるが、これはメイが原理主義的な人間だったからこそ、妻として夫のことを見てみぬふりをしていたと思うとやるせ無いとは思うが、家族の愛に包まれて逝ったというナレーションにはホッとする。

スコセッシらしい拳や銃器での暴力はないが、ある意味では暴力的な映画なのかもしれないと思った。物理攻撃だけが暴力ではないのでは。
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