しゆ

ブラッド・ダイヤモンドのしゆのレビュー・感想・評価

ブラッド・ダイヤモンド(2006年製作の映画)
3.5
「結婚指輪に給料3ヶ月分をつぎ込む新郎も戦争に加担をしている」。先進国が頼るダイヤモンドの原産地であるアフリカ・シエラレオネから、RUFと政府軍の内戦さらには密輸や強制労働など不法ビジネスとして切り込んだ作品。タイトルのブラッドダイヤモンドは労働者の黒人が死にものぐるいでかき集めて血に染まったダイヤモンド(その他資源)の象徴を意味していて、劇中でも残酷なシーンが多い。
本来同じ場所に住んでいたはずのアフリカ人同士が争い、年端もいかない純真無垢な子どもたちだからこそ洗脳に陥りやすく人を殺すことに抵抗なく撃ってしまうシーンはあまりにも虚しい。
ただ、この重苦しいテーマに、アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)とマディー(ジェニファー・ローレンス)の接近と、彼の最期の決断に至った変化(以前は金のために何を使ってやる傲慢さ強欲さだったのに)の展開はあまりにも早急で、なんだか一応映画らしい描写は詰め込みましたよと言わんばかりの杜撰さが気になった。単なる現実を映し出したエンターテイメント性皆無の作品にしないためともとれるけど、それにしてもやるならもう少し丁寧に時間をかけるべきで、どっちつかずな蛇足に感じた。
結果的には社会派ドラマ要素を含んだ8割アクション映画って印象。ジャケットはB級っぼいけど豪華キャストを起用して世界中に向けてダイヤモンドの華やかなイメージを覆したという意味では価値は大きい。先進国の人間ならば観ておきたい一本。
しゆ

しゆ