しゆ

エルヴィスのしゆのレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
3.7
1年ちょいくらい投稿空いちゃったので、できるだけ時系列順かつ下書きがあったやつを備忘録として置いておく。もしかしたら漏れがあるかも。



恥ずかしながらエルヴィス・プレスリーのことは知らなくて、2週間ほど前に映画館のツダケンがナレーションのキレッキレな予告を見て以来一気に引き込まれて曲や関連記事を味わってからの鑑賞なので少しだけ前知識あり。いつものワーナーのロゴが豪華絢爛だった。
正直なところ''史上最も売れたソロアーティスト''の濃い人生でも流石に159分の長さを感じずにはいられなかった。
プロデューサーのパーカー大佐(トム・ハンクス)が6割〜7割話の中心で、エルヴィス(オースティン・バトラー)が劇中で5回ほどライブを意図に反して行いバッシングに遭うの繰り返しが主な流れ。
オースティン・バトラーは色気が凄い。トム・ハンクスはこれまで純真無垢な役柄を演じてたことが多かっただけに、今回のトム・パーカー大佐の太った特殊メイクと目付きで新鮮ながらも一気に胡散臭いキャラを我が物にしてて、改めて名俳優たる所以の演技力と風格を感じさせた。
キング牧師やケネディ、シャロン・テート事件などアメリカの政治史やポップカルチャーなんかにも触れながらエルヴィスの半生を追っていくのでその世情に詳しい人ほどより楽しめるだろうなと思った。それこそトム・ハンクス繋がりで『フォレスト・ガンプ』みたいな、アメリカ人が楽しむためのアメリカ映画ってテイスト(あくまで付加価値が付く程度で外国人が観ても支障はない)。
最後はオースティン・バトラーではなく亡くなる数週間前のエルヴィス本人が歌うUnchained Melodyの当時の映像が流れる哀しい終わり方だった。『ボヘミアン・ラプソディ』みたいな、時には世の反感を買いながらもそれでも駆け抜けた人生というよりは、哀愁が勝って映画館を出て時間が経つにつれてじわじわ刺さるような感覚が襲ってきた。でもそれがなせが心地良くもある。
エルヴィスとパーカー大佐の出会いは彼らが輝き出して音楽界に革命を起こしたきっかけの幸運でもあり不運でもあるけど、そうでない人生が良かったかは本人たちでさえ分からないだろうな。
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