ちょっとどうしようもない。巨匠になった宮崎駿に誰も何も言えなかった結果、こんなヘンテコなものになったとしか思えない。
物語は合理性も辻褄もあったもんじゃない。ファンタジーに徹したとしても、その世界での理屈はつけておいてほしい。あまりに突拍子のないことばかりが起こり続けると退屈。どんどんどうでもよくなってしまう。
序盤からリアリティラインの曖昧さにたじろぐ。ポニョは「金魚」であると思ったら、ある人は「人面魚」だと叫び、ある人は「半魚人」だと。。
大洪水で避難警報が出ているのに家に帰ろうとする母親の動機がわからんし、街が浸水しているのに取り残された一家がやたら悠長なのも、地域の救助隊が牧歌的なのもわからん。なぜか何もしていない宗介が英雄視されているし、一体どうなってるんだ。。解決にいたるポニョ父母とのやり取りも謎めいている。「よろしく頼む」じゃねえよ、って。。
作品としてのメッセージも不明瞭。後半、「選ばれし者と世界の破滅」みたいな構図が見えてきて、それを深めてくれるのかと思ったら、まったくそうもならず。。
なにより残念なのは、ポニョが早々に人間と化し馴染んじゃったこと。人間の幼児と変わらないレベルの言動。時折カルチャーギャップコメディ的な「ズレ」が表現されるものの、コミュニケーションにはなんら支障がない。