クリーム

1984のクリームのレビュー・感想・評価

1984(1984年製作の映画)
4.1
ストーリーが秀逸過ぎて鳥肌でした。映画の世界に入り込むのにあらすじくらいは、読んだ方が楽しめると思います。1984年にイギリスで上映されたSF映画で、ジョージ·オーウェルの小説が元になっています。 全体主義とディストピアについてを取り扱った映画の元祖と言われる映画。 始終、不気味な雰囲気で、頭上で手をクロスし、『B!B!B!』と叫ぶ党員達に圧倒されつつ、映画が始まります。党によって生活や思想の殆どを管理されているディストピア世界の中で、自由を得ようと奮闘する一人の男とその末路の話。「ニュースピーク」や「二重思考」など、良く考えついたと関心すると共に真似る悪い奴が出て来なければ良いと恐ろしさを覚えました。実際、近隣の某北○○や旧○連等を連想しながら観てしまった。私は、好きなタイプの映画で、面白かったです。ラストも嫌いじゃないです。




ネタバレ↓




·ニュースピークとは
英語を簡略化して作られた言語。 語彙の量を少なくして、人々の思考する能力を低下させ、党による支配を簡単にし、党に反対する思想を表す手段が存在しなくなる恐ろしい言語です。
·二重思考とは
「2+2は党が言うのであれば5になる。3にも、同時に4にでもなりうる」という考え方。実際は間違ってると解ってても正しいと心から信じる事。これは、拷問で叩き込まれます。
「テレスクリーン」による監視だけでなく、党員同士、自分の子供にも気が抜けない世界。思考ですら自由では無い。
主人公ウィンストンの仕事は、歴史を党の都合の良い様に改定する作業。だけど違和感を持っていたウィンストンは密かにノートに自分の考えを書き込むという禁止行為をしていた。そして、偶然出会った同僚ジュリアから手紙による告白を受け、彼らは監視を潜り抜けながら愛し合う。愛によって 党に対する不信感を持ち始め、自由に生きたいと願う様になる。が、あっさりバレて捕まってしまう2人。そりゃそうだ、あれだけ厳しい監視なのに部屋での逢瀬は無謀過ぎる。密告は雑貨屋で、思考警察だった。
この後からが、特に面白い。
捕まったウィンストンの心を党がどうやってバキバキに打ち砕くかが、見所。肉体的にも精神的にも徹底的に追い詰めていく拷問は恐怖でした。『指が何本に見えるのか』の洗脳シーン。そして、特にネズミを使った101号室での最後の拷問。身動きの出来ない椅子に座らされ、顔の前に籠がセットされ、網を隔てた先には2匹のお腹を空かせたネズミ(これが、デカイのよ)がいる。網を外すとネズミは、顔をめがけ頬や舌、眼球を食い付くすと言う。母をネズミに食べられたトラウマがある彼は、耐えきれず『ジュリアを狙わせろ!彼女を好きにしてくれ!』と叫ぶ。その後、軟禁から解放され、ウィンストンと彼女は以前と同じ感情を持てなくなっていて、ビッグ・ブラザーへの愛を囁く場面で終わる。 彼は心まで党に忠誠を誓ってしまった。
で、思い返すと、主人公の行動全てが「国」が作ったシナリオの中で操作されていた。彼は頭が良すぎて、ずっと泳がされていた。駆除の対象者だったのだと思います。
愛情省での拷問の目的は、党から見た「脳を完全な状態にする」と言う治療。治療後には悲しみとビッグブラザーへの愛以外は残らない。その状態にしてから撃ち抜くらしい。わざわざ洗脳してから、殺すって凄い事考える。
洗脳した後にわざわざ処刑をする理由は、思想が間違いであったと自身の口から語らせテレスクリーンで流す為。その人が隠している反対思想を綴った文章が残っていた場合、それを無力化する為。恐ろしい程徹底している。面白かったです。
前半で党員達が処刑シーンを娯楽の様に見ていたのは、これらの洗脳後の人達の処刑シーンだったんだなぁ。観て良かったけど、ちょっと疲れました。
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