inazuma

未来世紀ブラジルのinazumaのレビュー・感想・評価

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)
4.7
世界は書類で回ってる
…現実の現代をちょっとばかし誇張しただけのディストピアSFファンタジー巨編!🪽

ようやく観れたテリー・ギリアム代表作。一昔前に『ゼロの未来』を観て寝落ちして以来ご無沙汰でしたが、久しぶりに彼の世界観に圧倒されてテリー熱が急上昇⤴⤴

主人公ラウリーにずっと感情をグラグラ揺さぶられてた。支配がない夢の世界では自惚れながら女のことしか考えていない男、現実の世界では決して責任を負いたがらない親の七光りエリート…無実の夫を真犯人と間違えられた夫人に対してベラベラと御託を並べる姿は見てられないぐらいに胸糞悪かった…とにかく観てる間こいつのことが全然好きになれなかった。。でも部分部分で感情移入してしまうところもあり、最後の方には哀愁を覚えたりもしました。
観賞後、ラウリーは監督自身が投影されたキャラクターであることがわかり、監督の壮絶な人生と重ねるとラウリーの嫌いだった部分もちょっとだけ好きになったかもしれない。嫌いなところはとことん嫌いですが。

本作の象徴であるかのように登場するダクトは親(政府)と子(国民)を繋ぐヘソの緒のメタファーであることが監督の言葉で分かり感動!親なしでは生きられない身体になってしまっているのは現実そのまんま。人間・生き物の性質を物体に投影させる手腕はデヴィッド・クローネンバーグと重なり、テリーの頭の中に興味湧きまくり!

あとはなんつっても画面の向こうからビリビリ伝わるハンドメイド感が素晴らしい!電気家具のダクトでいっぱいになった部屋も巨大武者も翼付き鎧も、何から何まで大興奮!決してCGが嫌いなわけではないですが、なんか手作りの方が満足感・満腹感が増すのです!『マッドマックス』シリーズのマシンやガスタウンを思い起こさせる巨大トラックや巨大工場も最高すぎ!終盤ラウリーが捕らえられたあの巨大な空間は、、あれはさすがにCGなのだろうか。とても冷たく、絶望感に満ちていて吸い込まれそうな嫌な空間だった。。

どうでもいいですが、イアン・ホルムの甘えん坊上司が見ててマジでイライラした!笑…このイライラ、現実でも経験あるぞ。。。
役者は皆最高です。
ていうかデニーロ!あんた出てたのか!知らなかった!『キング・オブ・コメディ』を連想させるコメディアンぶりがとても良かった!

モンティ・パイソンについてはまったくのド素人ですが、本作を機に、2025年はモンティ・パイソンとテリー・ギリアムのことを深くまで味わい尽くしたいもんです!
inazuma

inazuma