故郷キューバの田舎の森や自然、青春期を過ごした海、自由を求めて辿り着いたNYの空から降りしきる雪、若き母の姿。
カットインされる映像はどれも美しく、それが心象風景となりラストに心を打つ。
この映像美に触れるだけでゾクゾクしてくる。
時々挿入される当時のリアルなキューバの映像も効いている。
ジュリアン・シュナーベル監督は画家をしていたというから、納得した。
独裁政権下のキューバで作家レイナルド・アレナスは作家であり、ホモセクシャルであるというだけで投獄される。
出版さえ許されない自由のない国。
投獄されながらもなお、彼は自分の意志を貫き言葉を紡ぐ。
やがてカストロは、同性愛者、精神病患者、犯罪者が出国するのを許可し、アレナスは念願のNYへ亡命することが叶う。しかし、自由を求めて辿り着いた国は彼にとって終焉の地となってしまった。
最後に思い出す故郷の風景とともに語られる彼の著書「夜になるまえに」に綴られている言葉は、彼の純粋な想いだった。
主演を演じたのはバビエル・バルデム。役者魂を感じる素晴らしい演技だった。
全く知識を入れずに観たので、途中でショーン・ペンとジョニー・デップがちょい役で出てきたのには驚いた。2人ともめちゃくちゃいい。ジョニデはこんな役やっちゃうんだというぐらいの端役なのに、存在感抜群。
最後はあっという間に駆け抜けてしまった感があるので、そこは少し残念。