愛の微笑ましさと人生の儚さ。人という生き物の虚しさと強さ。2人の男を中心にこれらを描いている最高に美しい映画。
基本静かな映画なのだけれど、唐突に始まるバイオレンス描写がいかにも北野映画って感じ。ただ残酷という訳でなく、殺し方や戦い方がバリエーション豊富なのが良い。緊張感も凄い。
映画の随所に挟まれる武が描いた絵。動物の顔や体が花になったそれらはアーティスティックでありながらどこか不気味さが漂う。ビビットな色彩もこれを助長する。これらの絵は無意味に登場させているという訳ではなく、映画としても重要な展開の一つとして機能しているのが良い。
引き算の美学。ラストシーンのスマートさには思わず痺れた。思わず微笑んでしまうような日常の小さな出来事。これらを共有できる存在がいる事の幸せを噛みしめる。
