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パラダイス・アーミーの一人旅のレビュー・感想・評価

パラダイス・アーミー(1981年製作の映画)
4.0
アイヴァン・ライトマン監督作。

親友とともに陸軍に入隊したタクシー運転手・ジョンが巻き起こす騒動を描いたコメディ。
“脱力系俳優”として独自の地位を築いた感のあるビル・マーレイ主演の作品で、規律と統制が命の軍隊にジョンのお気楽さと自由が新風を吹き込んでいく様子を描いている。
軍隊らしさからかけ離れたジョンの自由気ままな行動が面白い。指導係の上官(それも強面ウォーレン・オーツ!)を小馬鹿にするなんて当たり前。女たちと泥んこプロレスに参加して警察沙汰になったり、留守中の上官宅でミリタリーポリスの女を連れ込んで羽目を外したりとやりたい放題。訓練も適当にこなす。他の隊の連中は真面目に訓練しているのに、ジョンの隊だけは唄いながら行進したり、指導係をけしかけたりする。
何があっても自由なスタイルを貫き通すジョンは、権力に対する反骨精神をたった一人で体現する存在だ。とは言っても深刻さなんて微塵もない。そこはコメディ映画らしくライトに楽しく描かれていて、ジョン自身も自分のやりたいようにやっているだけ。だから面白い。
そして、極秘兵器EM-50都市攻撃車(見た目は普通の小型バスなのが笑える)に搭乗して敵と戦闘を繰り広げるクライマックスは見どころだ。車両の側面から火炎放射したり小型ロケットを撃ち込んだりと、それまでの訓練シーンから一転、火薬量多めの大激戦が展開されるのだ。激戦の最中にも笑える演出がところどころ挿み込まれていて緊張感なんてまるで感じられない。
主演のビル・マーレイはこの頃から既に脱力感たっぷりの演技を見せている。ジョンの仲間・オックスを演じたジョン・キャンディも体格を活かした演技で存在感抜群。軍人らしさゼロの太った体を激しく揺らしながら全力疾走する姿は演技とは言えかなりきつそうだ。複数の女プロレスラー相手に泥まみれになりながら格闘する姿も異様な迫力があって面白い。女の下着を剥ぎ取って雄叫びを上げる姿は勇ましいような情けないような・・・。ジョン・キャンディが好きな人なら必見の作品だ。
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