ぐっない

善き人のためのソナタのぐっないのレビュー・感想・評価

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)
4.8
「良い」と「善い」の違いを考える。辞書では「良い」が「成績・品質などを表す段階のー。普通、または普通より良いことを表す」。「善い」が「よいこと。道理にかなったこと。対義語:悪」。

ここ最近ずっと、正しいとは何なのかについて考えていた。正しくいることは、必ずしも正解ではないのかもしれない。人にはそれぞれ生きてきた人生があって、考えがあって、自分の正しいは、全体で見たら正しくないのかもしれない。

ドライマンやクリスタにとっての善いことは、他の正しい人にとって善くないことかもしれなくて、苦しめることかもしれなくて、それでも、そうだとしても、私みたいに臆病でいることは1番いけないのだと。

善い行動ってなんだと思いますか。それはその人1人に対する行動ですか。何人に対してですか。基準は何ですか。じゃあそれと反対の行動は悪ですか。
そんなことばかり考えていたけど、諦めてしまってもいいかな。1人を助けるか、99人を助けるか、という問題があった時、貴方はどうしますか。私は、自分の大切な人を選びます。それが私の善いことです。って、思っても、いいかな。

ヴィーズナーは手紙を開ける人間になって、手紙を届ける人間になった。後半、一瞬で2年が過ぎてしまったりしていたけれど、いっぱい、苦悩したんだろうなあ。それからのあのラストは、もう泣くしかなくて、「私のための本だ」。そう、他でもない、自分のための。素晴らしい映画だった。
ぐっない

ぐっない