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恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズのSIのレビュー・感想・評価

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2023.1.14
自宅PCにて鑑賞

兄と組んだラウンジピアニストであるアル中ヤニ中の男は、落ち目となり元娼婦のシンガーを迎え入れる。勢いは上り調子となるが仕事は空虚に。男は女に手を出したことで女と衝突、トリオは解散となるも、女の助言により自分に正直に生きられるようになった男は、本当にやりたいジャズの道へ進む。

ハリポタシリーズの脚本家による監督・脚本。

とにもかくにもデイブ・グルーシン無双。音楽がかかっていないシーンが恐らくほぼない。圧倒的な劇伴力。キャッチ―なジャズを使うのがうますぎる。
オープニングからしてかっこいい。夜のネオンをバックに仕事に向かう男。そしてバックのジャズ。浸れる。

脚本は王道。男が情熱を取り戻すまで。
しかし、キャラ設定がうまい。
音楽を無上の喜びであるべきだと思っている主人公。音楽は有名になるための手段だと思っている女。音楽は生計を立てるためだと思っている兄。
音楽家のモチベーションを3人のキャラクターに象徴させ、作劇として音楽家の苦悩を表現することに成功している。
ミシェルファイファーが吸うパリオパール…。実在するかと思った。黒いフィルターがかっこいい。

演出は堅実で非常に好印象。うまい。
映すべきところはじっくりと、そうでないところはテキパキと。常に背景を動かし飽きのないように。堅実。
リゾートホテルのコネクションルームを活かしたうまいラブコメシーンがひとつ。
また、坂を活かした「のぼる」と「くだる」のメタファーが秀逸だった。上下の画面構成。素晴らしい。

ミシェルファイファーは白眉。本当に娼婦かのような。
ブリッジス兄弟、本当に弟には才能が、兄には仕事選びのセンスがあった…。抜群のキャスティング。

面白い映画でした。
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