みゅうちょび

日の名残りのみゅうちょびのレビュー・感想・評価

日の名残り(1993年製作の映画)
4.0
なんでか…今まで観ようとしては観ず、観ようとしては観ず…
これは多分…なぜかと言うと…エマ・トンプソンがあんまり好きではないから…

やっとこさ鑑賞。なにこれ〜めっちゃ切なくて息ができないくらい😭

長年大きな屋敷のバトラーとして誇りを持って生きてきた主人公スティーブンス。
彼の主人は政界の権力者でもあるが、ナチズムを掲げるドイツを擁護しているがステーブンスは主人の主義や思想には干渉せずプロとして自分の仕事を日々全うする。
戦争が終結したことで同じ屋敷で新しい主人の元で働くステーブンスは、かつて屋敷でともに働いた女性ケントンを再び屋敷で雇うため彼女に会いに行くが…

冒頭、既に結婚のために屋敷を去り数十年後、主人は代わったがまだ屋敷でバトラーを務めるステーブンス宛に届いたケントンからの手紙の朗読。最初に話方と声を聞いた瞬間、あ〜!エマ・トンプソンだぁ…😬って思って実はちょっと嫌だった…💦 けど…

結果として、これは、エマ・トンプソンでなければならなかったんだ❗️素晴らしかったよ❗️エマ❗️

話が過去に遡り、ステーブンスがケントンを女中頭として雇入れ、気が強いが判断力にも長けた彼女の仕事ぶりを認めざるを得なくなっていく。

ステーブンスを演じるアンソニー・ホプキンスの演技凄いね!常に落ち着き払って、凛として、給仕人たちに適切な指示や指導をしていく。目の表情とかちょっとした息遣いとかで戸惑いや動揺を表して…

そんな静である彼に対し、感情的で動的なケントン。

大きな屋敷で、いつ何時でも主人の要望に備え、他の使用人達の管理などしていくには、確かに休日なんてない。屋敷を出ることなく、余暇を過ごすとしたら精々読書。ステーブンスにとって仕事は人生そのもの。

そんな狭い世界で生きてきた彼が、実は女性との経験がないのでは?と示唆するエピソードが出てくる。多分女性に関心がないわけではないけれど、恐らく彼のような人物が心を委ねることが出来る女性に出会わなかったのかな…

ステーブンスとケントンが屋敷の仕事の中で関わり合い、仕事の仕方からそれぞれの人間性に触れるうちに何か心の中に心地良く温かいものが生まれてくる。
日々起こる出来事の中で、そういう気持ちが知らず知らず育まれている様子が本当に丁寧に静かに描かれてる。

時代背景や2人の立場などから、それが次第に切なさに変わって、心が求める物を得ることができない苦しみとなっていくのを、もどかしく祈るような気持ちで見守るしかなくて、これがなんともスリリングなのだ。

こんなに見ていて苦しいなんて…

観終わってしばらく動くことができなかったよ…
でも、納得がゆかないとかそう言うのではなく、その潔さと言うか高潔さと言うか… 自分には無いものを呑み込むのに時間がかかった。

改めて、アンソニー・ホプキンスって凄い俳優だな…って思ったし、エマ・トンプソンはやっぱり好きにはなれないけど…😅 ごめん。彼女も上手いよな…

美しい映像と音楽…

忘れられない映画になった。いやー映画ってほんと素晴らしいです!
みゅうちょび

みゅうちょび