しおの

フランケンシュタインの花嫁のしおののレビュー・感想・評価

2.8
ユニヴァーサル「フランケンシュタイン」シリーズの2作目でストーリー的にも前作の続編。親切に前作の振り返りまでしてくれる。エリザベスや市長の役には変更があるが、博士と怪物の役はそれぞれコリン・クライブ、ボリス・カーロフが続投。新たな悪役としてマッドサイエンティストのプレトリアス博士を配置。この博士役のアーネス・セジガーが不気味で良かった。監督ジェームズ・ホエール、メイクアップのジャック・ピアースも続投。「MASTERキートン」7巻「エルザ・ランチェスターの思い出」のもとネタ。
全体前作ほどに引き付けられるものはなく、音楽演出が加わったことでリアリズム表現が減退してしまったのがもっとも残念だったところ。不気味さがなくなりこけおどし感がでてしまった。ストーリーもちぐはぐな印象で序幕でわざわざこの作品のテーマが生命倫理であり前作以上にそこに踏み込むことを宣言しているが、わざわざ製作意図を明かした割りにどの程度それが描けていたかは微妙。特にラストでは人造人間とそれを生み出した人間という対立構図をどう描くか?という生命倫理のテーマを投げ出してしまい、ありきたりなヒューマニティに落ち着いてしまったという印象をうけた。フランケンシュタインに対してプレトリアスを鏡として配置したまでは良かったのだが、そこももうひとつ曖昧で踏み込みきれていない。
怪物の哀しみという点では隠者のところや仲間を欲しがる設定なんかによく表れていてよかった。花嫁との結末はテーマに沿うもので良かったし、単純に花嫁のビジュアルも面白い。ただ学習能力が高くすぐに言葉を理解し人語を話し飲み食いをする怪物の姿を見ていると、一体怪物がどういうスペックなのかという疑問で一杯になり、ストーリーが頭に入らない。望まず生まれて社会性を獲得できなかった者の哀しみの暗喩的表現として前作の少女とのエピソードを越えるものではなかった
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