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海外特派員のkarmapoliceのレビュー・感想・評価

海外特派員(1940年製作の映画)
4.3
Foreign Correspondent:アルフレッド・ヒッチコック監督、ジョーン・ハリソン脚本、ジョエル・マクリー、ラレイン・デイ主演、1940年作品。ヒッチコックのハリウッド「レベッカ」に次ぐ二作目の作品。

これは傑作!かなり好きなタイプ!!ヒッチコックはアメリカに渡って「レベッカ」の成功によって得た資金と信頼により、かなりやりたい放題の事を出来た作品なのだろう。1940年作品とは思えない先進的なクオリティの高い映像の連続には唸るものがある。何処か見覚えのあるシーンもあり、おそらく2度目の鑑賞かなと途中で気付いたが、あまり覚えておらず、新鮮に楽しめた。

HOTEL EUROPEがHOT EUROPEに変わるブラックユーモアをはじめ、ラストの名セリフまでプロパガンダ作品としての完成度も高いだろうと思う。しかし個人的にはサスペンス、ロマンス、アクションを行き来するエンタメとしての楽しみの方が今回は強く感じた。

雨の中戦争を回避しようとしている大物ヴァン・メア氏が、会議場に向かう階段で、カメラマンを装った殺人者から至近距離で射殺される。射殺後に犯人が傘の群れの中を逃げるシーンはなかなかのアート感覚。終盤の飛行機墜落シーンも独特の演出で、安定して飛行している旅客機を外から映して、窓からそのまま中に入り込む不思議なカメラワーク。そこから水中に落ちて窓から脱出するまでを一気に機内の映像だけで演出している。一番好きなのは風車小屋のシーンだろうか。潜入した主人公が犯人たちに気付かれぬように、歯車の間をすり抜けるスリルと緊張感は絶妙!!

中盤少しテンポダウンするが、現代でも十二分に楽しめると思う。

ヒッチコックさんはホテルを出たジョニー・ジョーンズの目の前を、帽子を被って新聞を読みながら通り過ぎる。

また観たいと思う。
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