タツベイ

スカーフェイスのタツベイのレビュー・感想・評価

スカーフェイス(1983年製作の映画)
5.0
"俺の武器はガッツと信用
 それを汚すことはしねぇ"

栄枯盛衰。
仁義を重んじる男の
真っ直ぐな信念が
自らを蝕んでいく。
愛に飢えたが故に
愛に壊された男の
壮絶な人生。


好きすぎてレビューしてなかった作品。
DVDも持ってますが、
もうすぐアマプラ配信が終わるので
観ておこうと思って鑑賞。
チンピラに始まり、成り上がり、破滅していく。
トニーモンタナの人生を辿った3時間。
一切の無駄のない作品です。

1980年、多くのキューバ難民が
アメリカに流れ込む。
その中の1人がチンピラのアントニオ・モンタナ。
アントニオはフランクの依頼で人を殺し
フランクからのお墨付きを貰う。
そこからフランクをも欺き、
誰も手をつけられないギャングの
トニーモンタナへと成り上がる。
信用を重んじるトニーは、
裏切りが当たり前の世界へ足を踏み入れ
正義を執行する異物にも思えた。
が、正義を貫くことが彼を崩壊へ導き、
身近な人間すらも信用できなくなる。
孤独になっていくトニーが迎える最期は
哀しく、美しいものでした。
ラストの銃撃戦は圧巻です。

人を信用するが故に孤独になる様は
ギャングの世界に関わらず起こり得るので
そんなトニーの人間性もあって
トニーに感情移入して観てしまった。
妻のエルビラを愛しているのに上手くいかず
妹のジーナを守りたいだけなのに裏目に出て。
何も持たない時のギラついた瞳は
全てを持つと徐々に光を失くしていき
ドラッグが破滅に追い討ちをかける。
トニーモンタナの人生は
観ている人の人生にも投影でき、
ギャング映画でありドラマでもあるような
多くの人に観てほしい傑作です。

とにかくアルパチーノの映画。
チンピラ時代のギラつきと
麻薬王になった後の貫禄、
ドラッグに溺れ衰退していく様。
1つの作品でここまで演じ分けられる技量に
魅了されっぱなしの3時間。
まだまだ何回も観ます。
タツベイ

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