KnightsofOdessa

アンドレイ・ルブリョフ 動乱そして沈黙(第一部) 試練そして復活(第二部)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

5.0
[] 100点

人生ベスト。アンドレイ・タルコフスキー長編二作目。いいかげんタルコフスキーくらい全部観よう企画。タルコフスキーで200分はキツイなとか思ってここまで放置してきたが、ようやく重い腰を上げて観てみる。アンドレイ・ルブリョフの年代記ということで、意外にも細かく章立てになっており、信仰心が薄くて簡単に殺し合い、疫病も流行って、異教徒もどこからか湧いてでてくる世紀末感溢れる中世ロシアを様々な角度から体験し絶望し、それでも人々に希望を与えるために創造の道を追究せよ、という、ソフトな地獄体験である。前半は冒頭の気球と旅芸人の章以外は問答ばかりで割りと退屈だが、後半で突然登場する鐘造りの挿話がマジで素晴らしい。死んだ父親の仕事もほとんど手伝ったこともないような若造が、何百もの労働者たちを束ねて期日までに鐘を完成させるというだけの話だが、創造には相応の悩みと痛みが襲いかかることを見事に視覚化している。鐘が鳴った瞬間はマジで泣いた。仕事が終わってたった一人、泥の中で少年に戻ったように泣くボリスカを抱き上げるアンドレイが10年近くぶりに口を開き、物語は色を得て、アンドレイの遺した絵が映し出される。その一枚一枚に、これまで描かれた3時間の苦しみが滲み出る。残り12本。
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