映画を見てからトゥルゲーネフの原作を読み直した。少年の細かな心理描写が文章に綴られているので、理解が深まった。
自然描写と叙情性と共に耽美的な世界が広がる。主演の2人があまりに若く美男美女。永遠にそこにいたかった。
別荘での一夏、初恋。ときめきと恥じらい。不安と嫉妬。そして最後には切なさと残酷さが胸に沁みる。
子どもにとって、年上の大人は自分が持っていないものを全て持っているように見える。より魅力的。孤高で気高くて狡賢さも備えた美しい高嶺の花という感じ、独特で複雑でもある、ドミニクサンダは。思わず画面をじっと見つめてしまった。
若さも青春も、宇宙の宝物全てを手にしているかのようだが、あまりに儚く、いとも簡単に散っていってしまうのだと思う。原作の最後の独白を読みながら。