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砂の惑星のsymaxのレビュー・感想・評価

砂の惑星(1984年製作の映画)
3.6
時は、10191年…宇宙を統治するのは、皇帝シャダム四世…この時代、宇宙で最も貴重なものは、スパイス"メランジ"…それは宇宙を支配する力を持つ…それは全宇宙の中でたった一つの惑星にしか無いもの…砂で覆われた惑星"アラキス"またの名を"デューン"…

いよいよ、今週末に公開となるドゥニ・ヴィルヌーヴ版"デューン/砂の惑星"の前に、やはりデヴィッド・リンチ版を観ておかなければと…いまやカルトと言ってよい存在の作品ですが…リンチ本人が言ってるのですから、確かに大失敗作です…ええ、そう思います…認めます…

フランク・ハーバートの小説は、それこそ擦り切れる程何度も読んでおりまして、だからこそリンチ版が超大金を掛けたダイジェスト版である事が分かります。

そもそも、映像化に無理があるんですよね。
"デューン"独特の世界観が壮大ですし、小説を読んでおかないと分かんない設定だらけなので。

ただ、話の基盤は意外と単純で、異世界に飛び込んだ若きポール・アトレイデスの成長譚なんですが、そこに"メランジ"という魔法のスパイスを巡り、皇帝vsアトレイデス家vsハルコネン家の三つ巴の争いが絡むんですね。

平たく言えば、麻薬を巡るマフィアの抗争みたいなもんです。

そこに精神世界や宗教やら超人伝説やらに加え、"デューン"特有の用語が飛び交うのでその世界観の説明だけでも2時間じゃ足りないですよ。

…ですが…他の方が失敗だ、つまんないだの言われても私は好き…いや、大好き…色んなバージョン何回も観てます。

リンチらしいところが随所にあって、本来的にはリンチの世界観と"デューン"の世界観は相性が良いのだと思います。

ナビゲーターの"イレイザー・ヘッド"的デザインを始め、ハルコネン家の面々のおどろおどろしさと汚なさ、ポール覚醒のトリップ観なんて実にリンチらしい…

そして、何より、スティングの"ぴょんぴょん"…

これを観ない手はありません…

ワンフレーズ、ワンフレーズをじっくり鑑賞すれば…あら不思議…名作になります。

リンチは今作の失敗により、以後、所謂ハリウッド的大作には二度と手をだしませんが、運命の出会いとなったカイル・マクラクランとは、"ブルーベルベット"→"ツイン・ピークス"へと繋がっていきましたので、そういう意味ではターニングポイントとなった作品であります。

小説が壮大過ぎて、ポドロフスキーは10時間を越える作品にしようとしましたし、リンチでさえ、長尺版が出ているのに、ヴィルヌーブ版はどうなるのかと思っていたら、何と二部作らしいじゃないですか!

しかも、二作目はまだ1ミリも作って無いって…"ジョジョ"みたいになったらどーすんだろ?
何が何でも二作目が出来るように売上に貢献しなくては…
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