ピロシキ

砂の惑星のピロシキのレビュー・感想・評価

砂の惑星(1984年製作の映画)
3.5
デヴィッド・リンチの黒歴史として名高いDUNE、そこまで聞くとさぞかし酷い仕上がりなのかと身構えたものの、これはこれで良い。なんというか、かわいい。「ダイジェスト版」とも揶揄されるような韋駄天並みの駆け足展開はさすがにニヤけるし、さっき出会ったばかりの女がいきなり運命のヒトになる性急っぷりはさすがに吹く。そして謎の呪文「チャースカ」連呼の瞬間に、完全に声出して笑う。子どもが見たらチャースカ!チャーッスカ!とかわいらしく叫びそうなキャッチーさ、しかし「腐ってもデヴィッド・リンチ」な描写はそこかしこにあって、やっぱり子どもにはあんまり見せたくないグロテスクさ。このアンビバレントな作風は、どうにも嫌いになれない。さまざまな制約のもとで映画作るのってさぞかし大変なんだろう、自分の作品のなかで作家性をじゅうぶんに発揮できる映画監督たちには、本当に畏れ入る。

原作は未読だがとりあえず「リンチのDUNE」「ホドロフスキーのDUNE」も見直して、「ヴィルヌーヴのDUNE」へのお膳立ては整った。いざ。


(チャークサ!だった)
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