KenzOasis

砂の惑星のKenzOasisのレビュー・感想・評価

砂の惑星(1984年製作の映画)
3.0
「浮かんでるデブ」

デヴィッド・リンチってこんな作品も撮るんだ、というのが素直な気持ち。昔に作られたSFであることや、原作が圧倒的にSF過ぎることもあって今観ると「うーむ」となりやすいことは仕方ない。まとめきれてないし。

フレメンたちと共に放つ「チャ〜〜」もちょっとオモロイ感じになっているし、セレブ感を演出するためのパグがちょこまかしてて単純に可愛いだけとかって側面もあるし。シールド演出も今観ると64のアクションゲームを思い出すし。

一方で皇帝に指図するスキンヘッド黒集団の衣装とかリック・オウエンス味が満載で、ベネ・ゲセリットたちの傲慢さと気味の悪さの表現も結構好きでした。それと“音”は結構良かった。

「映画の半分は音である」と語ったジョージ・ルーカスは、ドラマティックな音楽を添えながらスター・ウォーズを作り上げた。本作は毛色が違うだけに、音楽はあまり使われないが、砂虫を呼ぶ振動や心のささやき、不穏な空気、操る“声”など、魅力的な音がいくつもある。

ヘッドホンをしてそれぞれの音が直接耳に届くようにして観ると、面白さがグッとあがったように思う。「砂の惑星」は先に圧倒的な物語が存在していて、どうしようもなく映像が追いついていなかった。現在でようやく追いついたから、今映画になっているのは必然だと思う。

ヴィルヌーヴのDUNEにおける不穏さとかの表現の下地を随所で感じるし、この映画があったからこその今の完成度に至っているんだろうな。観ておいて良かったです。
KenzOasis

KenzOasis