ピンフまんがん

群衆のピンフまんがんのレビュー・感想・評価

群衆(1928年製作の映画)
4.1
これは、サイレント後期の名作ですね。サイレントでこんなホームドラマで、人生を刻々と刻んでいくタイプでもここまで面白くできるのかと思いました。最初のカメラやコマ送り、何だか初期の日本のアニメとけっこう似ていて、小気味よいリズムで進行していきます。そいやあのオフィスって、「アパートの鍵貸します」ってのと似ている気がしたけどここが元ネタだったのかな!?しかも同じ保険会社だったし。カメラ廻しも、なんかヒッチコック作品に通ずるような雰囲気もありました。
この人生観。不器用で人付き合いの下手な主人公の男性。今でもじわっとくるような他人ごとではないようなお話で、戦前のこんな時代にこういったお話があったことにただただ驚きです。これは並の才能では作れない作品です。
主人公男性と嫁どちらも素晴らしい演技。ただ、この男性はこのわずか数年後に自殺によって他界されているようです。