すずき

レジェンド/光と闇の伝説のすずきのレビュー・感想・評価

レジェンド/光と闇の伝説(1985年製作の映画)
3.4
お転婆な王女リリーは、今日も城を抜け出して森に住む秘密の恋人ジャックに会いに来ていた。
ジャックはリリーに、善の象徴たる聖獣ユニコーンを見せるが、リリーは禁忌を破りそれに手を触れようとする。
純粋な心を持つリリーに、ユニコーンも警戒を解いたその時、ユニコーンは矢が放たれた!
世界を闇に染める為、魔王の手先が放った刺客が射ったのだ。
リリーはもう一匹のユニコーンと共に、魔王城へ連れ去られる。
残されたジャックは妖精たちの助けを借りて、世界とリリーを救うための冒険に出発する…

ディレクターズカット版(字幕)、そして劇場公開版(吹替)と連続鑑賞。
DC版の方が劇場公開版より20分長く、ラストの映像が違うなど、結構違いがある。
俺は劇場公開版の方が良かったかな。
3.4も劇場公開版のスコアで、DC版のスコアは3.1。

DC版の何がいけなかったかと言うと、演出がクドいのよ。
「さっきから話進んでないよね…」と思うような描写が多くて非常にテンポ悪かった。
例えば、
・ユニコーン近づく→(暴れだす)→(驚く王女)→(かと思えば王女の横を素通り)→(再び温和ムード)→王女ユニコーンに触れる
※カッコ内は劇場公開版でカットされたシーン
あとラストシーンも劇場公開版の方が好き。

もちろんDC版にもいい所はある。
リドリー・スコット監督こだわりの映像がじっくりと楽しめる所や、クライマックスの魔王の「光ある所に闇はある、人の心に悪がある限り私は復活する」みたいな負け惜しみが聞ける所がいい所。
嫁はDC版から先に見たら劇場公開版は物足りない、って言ってたし好みの問題かも。

映像は流石リドリー・スコット、「エイリアン」「ブレードランナー」とは全然違うけど良かったよ。
魔王城は一部エイリアンっぽい雰囲気あったけど。
それに主人公のトム・クルーズのイケメンっぷり。
今まであんまり二枚目とは思った事なかったけど、若い頃は普通にイケメンなのね。
それから魔王の造形も良かった!
「ヘルボーイ」、或いは梅干しに巨大な角が生えたような特徴的なデザインを、特殊メイクで仕上げたのは名匠ロブ・ボッティン!
足が蹄になってるのも素敵なんだけど、技術的に難しいのか、足のアップの時にしか映らないのはご愛嬌。
あと印象に残ってるのは、なんか花びらとか雪とかキラキラしたものが舞ってるシーン多かったなー、って事と、なんか俳優の顔がアップになると、顔にやたらキラキラしたラメが付いてるなーって事。

ストーリーはあんまり良い出来では無いかもしれない。
旅がスタートするまでの展開も遅いし、アクションは平凡。
旅に出てからラスダンである魔王城までの道のりも短い。徒歩で半日ないくらい。世界を守る為の戦いなのに、スケールが大きいのか小さいのか…。
けど見るべき所はあるし、駄作認定するのは厳しくありゃせんか、とも思う。(平均スコア2.9)
世界観について説明不足なのは、「ロード・オブ・ザ・リング」もそうだったしさ。

あと吹替の日本語訳がいい仕事してる。
この映画だけに言える事じゃないけど、字幕はどうしても文字数制限があるから、説明不足になりがち。
当然短い文字数での表現になるから、不自然な表現も多い。
自分は吹替絶対主義では無いけれど、過度な字幕絶対主義もどうかと思うのだ。
他にも吹替と字幕について言いたい事もあるけれど、長くなるのでこのへんで。
普段は字幕派の人でも、この映画で見比べてみたら新たな発見があるかもよ、という事です。