ふじこ

ザ・ウォーカーのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ウォーカー(2010年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

遥か昔に観たなぁこれ、再視聴。

大戦で何もかもが破壊されてしまった世を描くポストアポカリプスもの。
雰囲気で言うと[ Fall out ]や[ 北斗の拳 ]、[ マッドマックス ]みたいな。それを極限まで色調を抑えた雰囲気。ほぼほぼ灰色。

荒廃し人もまばらな世界をイーライ(デンゼル・ワシントン)が一人で旅をする。
建物も失われ、ほぼ荒野であるけれど、その少ない資源を巡って人が殺し合う。
[北斗の拳]初期の名キャラクターである種籾の爺さんみたいな人はいない。
誰も"今日より明日なんじゃ"とか思ってない。それくらい荒廃しているって事なのかも。

それでもイーライは超強い。[ イコライザー ]の時バリに強い。
このタイプにありがちな、荒野で一人困っている女を囮に多数でボコす罠も一人で無双する。

ひたすら西を目指して旅をするうち、一つの町に辿り着き、愛用のウォークマンの充電を頼みつつ水を買いに行った先で一悶着。(当然水も超貴重品)
全員ボコし一泊した際にうっかり観せた食前の祈りが、ひたすら聖書を求める町のトップカーネギー(ゲイリー・オールドマン)にバレてしまい、聖書を寄越さなければ殺すと脅されるも何故か全ての銃弾はイーライを逸れてしまう。

その町で出会い、カーネギーに聖書の事がバレる切っ掛けになった女ソラーラ(足手まとい)もなんか付いて来るけれど、追いつかれた先で盾にされて聖書を奪われてしまう。
この捕まった場所の家のエピソードは好きだった。
この世界では食糧不足によって人間を食べるのもままある事のようで、その証として手が震える症状が出るのだけれど、朗らかに迎え入れてくれた(入り口に罠はあったけど)老夫婦が二人共手がブルブルで、ヤバさを感じたイーライがソラーラと家を出ようとする辺りの緊張感良かった。結局出る前にカーネギーの一味が来ちゃうのだけれども、誰かを陥れてその肉を食う事が最早一般的である証のようで、ここら辺は非常に[ Fall out ]味があって良かった。

この家の辺りからやっと面白くなるのだけれど、聖書を渡した上に撃たれたイーライと、持ち帰った聖書をワクワクで開いたら点字で落胆と激怒の入り混じったカーネギー、盲目のソラーラの母親に読ませるも、恐らく読めるのにも関わらず"点字なんかもう忘れたわ"と今までの都合よく使われた意趣返しも気持ちいい。

西の果てのまぁまぁ文明が盛り返した地区で、大戦前の文明を保存する施設にて遂にイーライの秘密が分かる処も良かった。奪われた聖書は点字で、ここまで無双の強さを誇り、"頭の中に声が聴こえる"と言っていたイーライ自身が盲目であり、今まで散々敵を翻弄した全てが目の見えない状況での手練であったと。
いつしか聖書自体に価値を見出して居たけれど、大事なのは中身だ と考えを改めたイーライは、既に記憶していた中身を語り、復活した出版技術の助けを得て新たな布教の一助になる。

手取り付いた時点で、カーネギーの手により負傷していたイーライは、恐らく聖書の全てを語り尽くして亡くなってしまう。
それらを見届けたソラーラは町に置いてきた母の元へ戻る旅路に着いて終わる。


なんとも、聖書の重要性と言うか…キリストを信じていないと あっそうなんだ…って思っちゃう映画。
信じたいなら信じればいい、としか思っていないから、うぉぉぉ聖書~~!ってなる感じも分からないし、あの一冊で人を支配する事が出来ると思っているカーネギーにも同調できない。
終盤まで足手まといのソラーラも邪魔だな~としか思ってないし、ポストアポカリプスものを楽しむのと、最後の そうだったのかよ~を楽しむに終止する。
キリストには興味ないけれど、その二つと超つよいデンゼルを楽しめたのでまぁ良かったかなと思う。
ふじこ

ふじこ