くろきつ

トゥモロー・ワールドのくろきつのレビュー・感想・評価

トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)
5.0
人類に子供が生まれなくなり地球を引き継ぐ者がいなくなった世界で奇跡的に妊娠した女を命懸けで守る男の姿を描いたSFサスペンス。

混沌に支配された世界で起こった奇跡を守る男の映画。イギリスでは世界中から不法移民が押し寄せていた。暴力と無秩序。世界に興味がないように見えるクライヴ・オーウェン演じる主人公の心情の変化も見どころ。この映画を最近まで知らなかったのが不思議でならない。完全に圧倒された。とにかく長回しがすごい。きっと上手いこと繋ぎ合わせてそう見せてるのだろうけどそれでもすごい。ディストピア映画であるはずなのにその長回しによって臨場感が恐ろしいほど間近にあって近未来映画であることを忘れるほどだった。その長回しこそがこの映画の素晴らしいところ。物語というよりは一つの現実。というのも回想シーンだったりがないことと、観客にはずっと主人公の目線だけが映ることからそう感じた。主人公が見ていない景色は観客も見ていない。その場の状況だけで進む映画。最後まで走りきった主人公の姿はめちゃくちゃカッコよかった。そんな撮影技術に惚れる映画だった。
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