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KISSing ジェシカの堊のレビュー・感想・評価

KISSing ジェシカ(2001年製作の映画)
3.5
「リルケはすごく深い、バイ・セクシャル処女が釣れるから」パートナー募集広告からはじまる本作で交わされるスノッブな会話の数々はどこかウディ・アレンを思わせる。昔のボーイフレンドで上司でもある男の介入によって物語は混乱を極める上に、恋人からかけがえのない友達という関係へと変化していくことを肯定する終盤の展開は本職の方々からウケが悪いことは容易に想像できるが、メイキングでのほぼ無名女優であったふたりの屈託のない笑顔に救われる。特になにかしたいわけでもなく、何者にもなれない28歳というキャラクターはのちのマンブルコア作品の主人公たちを予告しているようでもあった。わざわざホークスの『赤い河』を観に行って全否定するふたりの姿も忘れずに。
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