安堵霊タラコフスキー

鶴は翔んでゆく/戦争と貞操の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

5.0
ロシアやソ連の映画界には、エイゼンシュテインやタルコフスキーといった具合に鮮烈なイメージの映画を撮る監督が多かったが、ミハイル・カラトーゾフもその一人

「どれだけ哀しいことがあっても新しい季節は訪れる」といった意味が推測されるタイトルのこの作品、内容は戦争により齎されるあるカップルの悲劇というありがちなものであるが、それを躍動感溢れる斬新な映像で表現したのが圧巻で、羅生門や雨月物語に通じるその鮮やかさに瞠目しきりだった

カラトーゾフはこの作品でパルムドールを受賞し、それも納得の素晴らしい作品だったが、世界的に名が知られてから三作しか長編を残せず、そのどれもが不当に低い評価で軽んじられたのはあまりに勿体無く不遇と言わざるを得ない