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レイニング・ストーンズのnozomiのレビュー・感想・評価

レイニング・ストーンズ(1993年製作の映画)
3.8

労働者階級の、2組の家族のストーリー。

タイトルの「レイニング・ストーンズ」は「石が降ってくるほどの辛い生活」という意味。そのタイトルの通りこの映画は、労働者階級の人々の貧困の悲愴さを描いた作品。

映画は中年の男二人が草原で羊を追い回すシーンから始まる。やっとの思いで掴まえた一匹の羊を車で運び肉屋に売りに行くが、実はこの二人羊泥棒で、牧場主ではない。

ボブとトミーは、二人とも家庭はあるが
決まった職につくことができず、失業手当てを貰い暮らす日々。

そんな中でボブは日々の生活さえでさえもギリギリだというのに、娘の聖餐式のためにドレスを買ってやろうと意気込む。ついにローン会社からお金を借りてしまい、取立て業者が家までやって来て妻と娘を恐喝していく…。

頑張れば頑張るほどから回っていく様子が痛々しい。「石が降ってくるほどの辛い生活」とは本当によい例えだと思う。

そもそも定職に就かないボブにも責任があるのではと思う気持ちもあるけど、この映画が捉えてる問題はそこではなく資本主義の社会そのものだろう。

労働者階級の人々に視点を当てて映画の製作や政治活動を行っているケン・ローチ監督。

悪質な恐喝を行う取立て業者を誤って死なせてしまったボブを許した神父がなんだかケン・ローチ監督自身に見えました。

最初にケン・ローチ監督の最新作「わたしは、ダニエル・ブレイク」を観てしまったので…。あの映画を観てとても感動したのは監督の伝えたいことが明確だったからだけど、土台としてこういう映画を沢山作ってきたから「ダニエル・ブレイク」みたいな良い映画を作れたのね。

ケン・ローチ監督の作品また観よう。
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