つるみん

身代金のつるみんのレビュー・感想・評価

身代金(1996年製作の映画)
3.7
【メル・ギブソン破天荒】

航空会社の社長で資産家のトム。美人な奥さんと小学生くらいの男の子がいる幸せで裕福な家庭だ。しかしある日、息子が誘拐され犯人から身代金として200万ドルを要求される。幸せだった家庭が一気に崩れはじめる。果たして父親であるトムは息子を救うためにどう出るのか…。


現実からどんどん離れていく内容にも関わらず、やはり作品として惹きつけられるのは素晴らしい。犯人挑発のためにTV出演?ありえない。10件中7件の誘拐事件解決?(一般的に日にちが経つ度に事件解決率は減っていきます)この状況でその慰めの一言。ありえない。
しかし現実ではありえないような要素を組み込む事によって話の内容が何重にも興味深くなっていく。さすがロン・ハワード監督。一筋縄ではいかない誘拐映画である。



しかし誘拐映画、またサスペンスでポイントとなるのはやはり犯人の存在。話が流れていく上で犯人像のヒントを徐々に出していくのが鉄則だ。序盤に怪しいと思うのは刺青の印象がやたら強調されている。この映画を見る誰もがその刺青をヒントとして受け取り話に乗っかっていくはずだが…。伏線の要素として全くもって無意味な存在であった。イーストウッド監督の〝ミスティク・リバー〟での十字架の刺青の存在。あそこまで期待した僕が愚かであった。ロン・ハワード監督にしては唯一の欠点と言ってもいいのではないだろうか。


主演はメル・ギブソン。もちろん色々プライベートでやらかしハリウッドNo.1嫌われ者。といっても過言ではない彼だが僕は応援している。アクションはもちろん、本作品ではシリアスな場面での演技。そして民族。ラブストーリーだってやります。演技力の幅も広く質も高い。さらには創造側でも素晴らしい才能を持っている彼。確かに許されないことをしたがメル・ギブソンの演技、それから監督を務める作品が僕は大好きだ。
つるみん

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