デニロ

上意討ち 拝領妻始末のデニロのレビュー・感想・評価

上意討ち 拝領妻始末(1967年製作の映画)
3.5
今まで気が付かなかったが物凄い題名だと思う。拝領妻。原作ものだというけれど。

橋本忍は題名で観客を脱力させてしまえと思ったのだろうか。小林正樹の重厚な演出に笑っていいのか、と思いながらも笑ってしまう。そんなシーンが随所にあって、一体本作のカテゴリーは何だろうと戸惑うのもミスマッチ効果だろうか。

残念なのは司葉子が二十歳そこそこの側室という風にはとても見えなかったこと。これはつらかった。
婿養子の三船敏郎が妻君の大塚道子に20数年間忍従しているという姿もイメージできない。尤も夫婦なんてこんなものだろうとは思うけれど。

で、お殿様の側室を払い下げられ、その側室がお世継ぎのご生母となるに際してはお殿様に返上しろ云々の理不尽な話に憤る、というストーリーだがささやかな抵抗の果てに権力の力の方が勝るという結末が待っている。が、終盤取ってつけたように荒野での大立ち回り。仲代達矢対三船敏郎。どこかで見たような組み合わせだが、脚本、演出はこんなこともしてみたかったのだろうか。それとも営業の要請だろうか。この部分が長い。

それにしても意気軒高だった加藤剛があっさりと死んでしまうのは戦いをしなくなった武士の柔弱を描いたのだろうか。

1967年製作公開。原作滝口康彦 。脚色橋本忍。監督小林正樹。
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