このレビューはネタバレを含みます
マジックを通して取りつかれた若者達が危険を冒してでも手にするのは、偉業か愛かそれとも...。
クリストファー・ノーラン監督作品ということで、もれなく時系列シャッフルや観客を欺くような描写が随所が見られるが、今作ではそれらがメインで扱われるマジックの在り方と上手く噛み合っていた印象。他人、さらには己までも欺く中で語られる言葉の真実味、足場から落ちるタネと首吊りの皮肉さ。
絶対これは後で意味があるんだろうなと分かってはいても、舞台の雰囲気や役者の演技により思わず引き込まれてしまう。それこそ観客は騙されていたいのかもしれない。
ただ、映像や物語の展開は割と淡々としており、既に他の同監督作品を観た状態では物足りなさを感じてしまうかも。また、作品を観る人はマジシャン側(=タネを知る側)のため、マジックそのものに対しての面白みが感じづらいのが難しいところ。そんな中でSF要素が介入してしまうのが、引っ掛かってしまう要因なのだろう。
面白いのは間違いないが、観終わってどこか釈然としない作品。