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ケンタッキー・フライド・ムービーのmasatのレビュー・感想・評価

2.9
クソ下らないコント集も、2022年の今、いまや文化遺産と感じる(!)ほど、映画的創意工夫が施されている。アイディアと意欲が炸裂する荒々しいこんな低予算映画が、1977年、宇宙に行ったり来たりのSF映画の陰の影で、80年代に開花する“おバカ新芽”を芽吹かせていたんだなあ、と感動的ですらあった。

特に監督は早々と翌78年に、70年代を総括したかの様なおバカ学園寮大作戦で、開花、爆発。

さて、20以上のエピソードの不恰好な塊は、やりたい放題。

特に“クレオパトラ・シュワルツ”が圧巻。
コフィーと守銭奴ユダヤ人の暴力団が、黒巨乳と長い顎髭をブルブル震わせながら行進する。

そして、インポ・ディノ(・デ・ラウレンティス!!)が、スタジオで暴れ回るゴリラ騒動も爆笑。
ジョン・ランディスの親友リック・ベイカー特殊メイク・クリエイター渾身のゴリラ・スーツへ自ら乗り込み、『キングコング』(76)で安く酷使されたイタ公プロデューサーへの怨みを、愛情溢れる造形と動きに込めまくった。

そんな愛情も、それもこれも、すべて今や失われた乱暴な映画的創造性(時代性と個人的な思いの歓交)であった。
文化遺産。天然記念物。そんな言葉が浮かんでしまう今宵の鑑賞。
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