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ホワイト・ノイズのmasatのレビュー・感想・評価

ホワイト・ノイズ(2022年製作の映画)
1.7
何へ、何処へ向かっているのか?
解らなかった。

やはりネットフリックスオリジナル映画は、賞レースを賑わせたモノもあるが、総じてその殆どが“映画としての吸引力”に欠けると言わざるを得ない。
この作品を観るために、決められた時間、決められた場所へ、わざわざ観客を誘引するほどのものではない。即ち、映画化出来なかった企画が、流れてきた、のだろう。
バード・ボックス、終わらない週末、ロスト・ドーター、ザ・キラーからフェアプレーやマーダー・ミステリーに至るまで、どれも個性的で、魅力的なプロットがあり、話題性もあり、加えてスター・バリューが付いているモノもあるが、
劇場でやっていたら観客が観に行くのか?
と言う企画で溢れている。

さて本作も、上記の例に漏れない。
今やアメリカを代表するノア・バームバックに、いま最もイケてる二大スターを配し、野心的に挑んでいる企画である。
が、一体誰が観て、誰が喜ぶのか?
その企画性の根幹が解らない。ので、そこそこ観せる瞬間はあるのだが、没入出来ない上滑りさが、一際輝いていた・・・

まあ、“レディ・バード”の様な稀代の名画が生まれるきっかけを創り、昨年、人工的なお人形さん子供騙し映画で、アメリカ映画史上、最高の興行成績を遺すに至る偉業を成し遂げたのだから、このくらいの独り善がりな企画を一つくらいは、ノア・バームバックに与えて上げても良いだろう。

グレタ・ガーウィックは、女優として何をやっても印象に遺らないと思うのは、きっと私だけだろう。あの図々しい感じとセクシーさのまるでない図体のデカさなど、21世紀のチャーミングさとは、こんな感じなのだろう。
そんな彼女にこだわり、当時頭打ちだった彼女へ、自由に溌剌と演技を教え、さらに演出さえ教えたノアのプロデュース力は、時代にフィットし、ずば抜けた威力を発揮してしまった訳だ。
と言うのも、それより遥か以前に、かのジェニファー・ジェーソン・リーの100本ノックを喰らった、その礎の上に開花したパーソナリティであり、なんとも微笑ましく、(女で変わる、そのバイブスは)アメリカンな感じを放ちまくっていますね。まさにアメリカン・ハッピー・ジョブの象徴ですな。
なので、この一本くらい、我慢します。
同じく現代アメリカを代表し、駄作のなかったジェイソン・ライトマンだって、お化け退治映画と言う(色々なシガラミはあるにせよ)愚作を産んでしまったんだから。
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