なちゅん

時計じかけのオレンジのなちゅんのレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
3.8
キューブリックは何本みても難しい。(まだ3本目)

目を背けたくなるような残酷さとグロテスクさは別にアレックスとドルーグたちのアルトラに限った話じゃない。周囲の大人だって、その年齢相応の残虐性をいろんな形で彼に見せる。
そもそもアレックスの残忍性はどこから生まれたんだろうね。15歳の少年が持つには少々アダルトすぎない?性的な意味でなく、ありとあらゆる振る舞いが。いくら暴力や性的な快楽が人間の本質的な快感につながっているとしても、あまりにもエンターテインメントとして表現されすぎな気もする。

アレックスの見せる残虐さが人道から外れたレベルのものである(ただ何度も言うけど、真人間は表に出さないと言うだけで、残念ながら暴力=快楽なのは完全には否定できない)ことはさておき、だからと言ってルドヴィコ療法が正しいかというとそれも違う気がする。精神科医のテストを受けている彼は「治っている」という感じがしたから。悪を制すための悪、暴力を制すための暴力が横行しただけというか。

何かを感じ取るべきなんだろうけど、ちゃんと理解できてないと思う。「本質は変えられない」ということかもしれないし、「人間とはあらゆる側面で暴力的なものだ」かもしれない。そうじゃないような気もする。
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