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時計じかけのオレンジのfumikaのレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.0
毎日のように暴力やセックスに明け暮れていた不良グループの首領アレックスは、ある殺人事件で仲間に裏切られついに投獄させられてしまう
そこで彼は攻撃性を絶つ洗脳の実験台に立たされることとなる


クラシックをシンセで再構築した音楽を使うなど抜群のセンスで映像により一層の個性が加わっている他、1970年代の作品ながら暴力とドラッグとセックスに満ちた近未来の若者をシニカルな視点で描いていて、当時としては画期的な作品だったろうなぁと思う


SFとして、また近未来の管理社会を皮肉った風刺的作品という点で『未来世紀ブラジル』と共通しているせいかかなり好きな作品
(サムラウリーの性格とは正反対だけどね)
これ観てモラルハザードな気持ちになる面も持っちゃったりなんかして、吸引力の凄さに観終わった直後は放心状態


今作で1番有名なシーンは恐らく矯正実験のシーンだろうけど、私は雨に唄えばを口ずさみながら老夫婦を襲撃しているシーンに惹かれた
崇高な美しさのある数分間だっなぁ、、


アレックスたちの使っていたロシア語もどきのドルーグ語(仲間語)
あの要素を取り入れたのも面白いし、なんで取り入れられたのかを想像するといかにキューブリックが先を見る能力があったのかが伺えます
今じゃよくある傾向だしね、ほんと凄い


これだけ(もちろんいい意味で)ツッコミどころのある作品になると1人ひとり解釈が違ってくるだろうし、それでこそ発信媒体の意義かなと考えてしまいました、傑作!
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