うわぁ…こういう、現実と全く均衡のとれてない危うさの果てを描いてるのは大好き。
べティの衝動的でぶっ飛んだキャラは相当に人によって受け取り方が変わるでしょうが、個人的にはとても心惹かれた。だってもう、やり過ぎを通り越してるけど、全然迷いが無くて、ありえないほど一途なんだもの。ゾルグに向けられるエネルギーの純度に圧倒される。
ともすれば一方的な倒錯で終わってしまうけど、そうならないのはゾルグもまた、彼女をしっかりと受け入れてるからなんですよね。
乱暴に言えば、双方おかしい。はっきりいって、綺麗でもないし、正解でもない。けれど、汚ささえそのまままとう姿にこそ、美しさを感じる。
愛は狂うこと、そんな風にもいうけど普通はこんなの望まないと思う。でも、ここまで行き着けることは最大の幸福とも言えるんじゃないか…そんなふうに思います。
また、結局ゾルグは最後までなにも残せてないし、強盗までしちゃってるけど、べティにちゃんと応えていたとは言い難い。多分、お互い強く深く愛し合ってはいたけれど、その形はやっぱり共通ではなかったはず。それは男と女の違いなのか。
狂おしい愛の賛歌であると同時に、どんなに愛し合おうともひとつになることは難しいっていう、とても切ないものをあのラストからは感じました。
とても良い映画なんだけども…完全版なだけあってとにかく長い！どのエピソードも面白いけど、もうちょっと短くても…。
でも、削っちゃったら、この良さは出ないんだろうな。
